第150話 武器防具


 「じゃあ次は武器防具とかだな」


 素材の整理は粗方終わった。

 今、アイテムボックス内にあるのは表に出しても問題ないモノばかりだ。


 「そういえばだんちょ〜って武器使わないよね〜」


 「なんかしっくりくるのがなくてな」


 異世界ビギナーの頃は剣を使ってたんだけどな。

 厨二病らしく、異世界といえば剣と魔法って思ってたし。でも、俺の使い方が下手なせいもあったんだろうが、とにかくすぐ壊れるんだ。


 もうそれなら俺の体を武器にしたら良くね? って思いまして。憤怒サタンに憑依したら、身体能力がえげつない程上がったしね。ちょうど良かったってのもある。


 「とりあえず適当に武器を出していくけど。欲しいモノがあったら持ってっていいぞ。お前達ならもう武器に頼る戦い方もしないだろうし」


 「あたしは糸があるからいらないかな〜」


 「私もあんまり必要ないですねぇ」


 「がっはっはっは!! 俺様はこの前団長殿にもらったガントレットを使わせてもらうとしよう!! 遠距離攻撃の手段がないのでな!!」


 桜と陽花は要らないみたいだけど、公英はガントレットを自分の魔法鞄に入れた。

 公英って脳筋なのに、たまに現実がちゃんと見えた事を言うんだよな。

 武器なんていらぬ。己の筋肉のみで戦うのみ! とかなんとか言うと思ってたんだけど。

 しっかり武器も使うんだから。


 「なんで武器とか防具を使わないのにこんなにいっぱいあるの〜?」


 「ダンジョンに入り浸ってたら、結構ポロポロドロップするんだよな。で、効果は悪くないし、売るとかはコレクター魂が許さなくて。どんどん溜まっていくって感じ」


 剣だけでもかなりの種類がある。

 短剣、長剣、大剣。

 儀礼剣なんてのもあるし、異世界で定番の刀。大太刀、カトラスも。

 変わり種なら蛇腹剣もあるな。


 「これは何か魔法的効果がついたりしてるんですかー?」


 「あーそうだな。斬撃力アップとか」


 不壊とか、魔法を撃ちだす剣とか。

 絶対に斬れないとかジョーク効果もあるし、呪われてる感じのもある。浄化したら使えるが。

 呪われた剣とかロマンだからね。そのまましてるけど。


 「うおっ! なんだこれは!」


 「あ、それ四天王が使ってた大剣だ」


 一際禍々しい雰囲気を漂わせてる大剣に公英はびっくりしていた。

 それは斬ったところが腐っていくから気を付けろよ。俺も腕を腐らされて、何回も斬り落とした。


 「逆にこっちは神々しいね〜」


 「それは一応聖剣って言われてるな」


 フラガラッハだっけな。

 中々使える剣だった筈。

 とある宗教国家が後生大事に保管してたのを掻っ払った。宗教国家とは名ばかりのクソみたいな国だったから。仕方ないね。


 「神田さんとか何か武器使わないかな」


 「どうでしょうねぇ。七海ちゃんにはシャコさんがありますから」


 遠距離への攻撃手段もオオスズメバチで毒を飛ばしたりして戦えてたもんなぁ。

 『変態』って名前さえ目を瞑れば優秀だよ。


 武器は剣だけじゃない。

 槍、矛、戦斧、ハルバード、薙刀、杖、槌、鞭、モーニングスター、鎖、ワイヤー、手裏剣、チャクラム、弓と大体の武器は揃っている。

 残念ながらパイルバンカーとか機械系はないが。

 作ってもらおうかな。ドリルとかその辺ってロマンあるし。使わないけどさ。


 「このワイヤー面白いね〜」


 桜は糸使いとしてワイヤーや鎖は見逃せないのか、珍しく鋭い目付きをして所感を確かめてる。

 一時ワイヤー使うのにハマったなぁ。厨二病患者としては、憧れても仕方ないと思うんだ。

 すぐに飽きたけど。


 「とりあえず呪われてるのは魔法鞄で保管しておくか。見栄えの良い武器をいくつか飾ろう」


 「よし! 俺様に任せておけ!!」


 すっかり飾るのにハマった公英が楽しそうに、武器の配置を考えている。

 楽で助かる。なんか大した事ない武器は、今度会う予定の『打倒アスカロン』に見せても良いかもね。良い刺激になるかも。

 『シークレット』に所属してる鍛治師にも見せてみよう。


 「で、次は防具っと」


 アイテムボックスをごそごそと漁って、防具をどんどんと出していく。


 「防具も多いですねぇ」


 「防具じゃない服とかもあるよね〜。これにも効果がついてたりするのかな〜」


 うむ。とりあえず珍しいモノはアイテムボックスに放り込んでたからな。

 何回も言うが、ダンジョンに入り浸ってたら、ぽんぽこドロップするんだよ。


 靴、外套、軍服、スーツ、ドレス。

 法衣なんてのもあるし、盾とか籠手、鎧も勿論ある。フルプレートアーマーもあるし、革鎧もある。

 まぁ、俺は使わないから死蔵してたんだけど。


 「フルプレートアーマーとかは画になるよな。これは飾りたい」


 「ドレスとかだんちょ〜絶対使わないじゃ〜ん」


 ドロップしたんだもん。仕方ないじゃん。

 もしかしたら何かしらの呪いでTSしたりするかもしれないでしょ? 実際そういう薬もあるし。


 「だんちょ〜さんは軍服とか似合いそうですねぇ」


 「ああ…」


 俺の黒歴史な。

 厨二病患者なら軍服に憧れない訳ないんだよ。

 一時はそれで活動したりしてたさ。

 でもね。ふと我に返る瞬間ってのがあってな。


 俺は一体何をしてるんだろうって。

 厨二病は冷静になると中々恥ずかしいから。

 ソッとアイテムボックスの中にしまいました。

 嫌な事を思い出してしまったぜ。

 

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