第140話 正式決定


 「ん、良いんじゃないかな。それで合意してきていいよ」


 「かしこまりました」


 韓国と台湾から攻略要請が来てて、それの契約を担当してくれてた人が契約書を持って来てくれたので、ザッと読んでからオッケーを出す。

 中々良い条件だと思ったね。その分ちょっと面倒なお願いをされたけど。まぁ、大した事はあるまいて。


 早速『シークレット』の戦闘員を集めて話をする。契約が決まったらすぐに行けるようにしとかないとね。


 「韓国と台湾に行く事が正式に決まりそうでーす。各々準備しておくようにー」


 俺はコピーした契約書をみんなに渡しながら話をする。


 「早速観光地をピックアップしなくちゃね〜!」


 「海外! 私初めてであります! パスポートを使う時がきましたっ」


 桜と神田さんは旅行の延長としか捉えてない。

 二人でキャッキャとスマホを見ながら、ここ行きたいこれ食べたいと楽しそうにしてる。

 契約書ちゃんと読んでくれた?


 「ほう! 韓国と台湾の人間の筋肉はどんなものであろうな!! この俺がしっかり見定めてやらねばなるまい!!」


 「韓国といえばマッコリですよねぇ。台湾は高粱酒かしら? 楽しみだわぁ」


 ほんと君達は…。

 日本を代表して攻略しに行くんだよ?

 そんなスタンスで大丈夫なのかね。


 「だんちょ〜。台湾のジブリでモデルになったであろう場所は行くよね〜?」


 「もちろんだ」


 そこは外せないだろう。

 後は龍山寺とかね。前にちょっと調べておきました。中正紀念堂も行きたい。


 韓国なら景福宮とか、東大門に行きたいね。

 他にも美味しい食べ物がたくさん。

 これも既にリサーチ済みだ。要請が来るってなってからしっかり調べました。


 「だんちょ〜が一番浮かれてるよね〜」


 「だまらっしゃい」


 観光ついでに攻略するとか思ってませんよ?

 しっかり報酬をもらってるんだから。

 誠心誠意一生懸命攻略させていただきますとも。

 でもでもそのついでに、観光したりしてもいいよね? こういう機会がないと外国になんて行かないんだから。普段は引きこもりだし。


 「桜は吉野さんの件は大丈夫なのか?」


 「ばっちりだよ〜! オリジナル牛丼も考案したし〜CM撮影も終わったからね〜。んふふ〜。今から発売と放送が楽しみ〜」


 「さいですか。他のみんなは? 何か今抱えてるタスクはない? あるなら、さっさと終わらせるなり、引き継ぐなりして欲しいんだけど」


 「私はまだ観察に時間がかかりそうですっ! 遠征に間に合いそうにありません!」


 「ん。まぁ、それは仕方ない」


 モンハナシャコを習得した神田さんは次の変態先を観察中だ。でも間に合わないっぽい。こればっかりは仕方ない。モンハナシャコも充分強いしね。


 「ふむ。警備員達と良く話しておかねばならんな!! 俺様が不在の間に筋トレを怠らないよう言っておかねば!」


 俺は警備員の筋肉感染を止める事が出来なかった。最近では女性メンバーも興味を持ち始めてるんだ。勘弁してくれ。筋肉の感染力を甘く見過ぎてたぜ。ワクチン作らないと…。もう手遅れかな…。


 「私はお酒の飲み比べの途中ですねぇ。早めに終わらせませんと。誰かに引き継ぐなんて出来ませんし」


 うん。そうだね。好きにして下さい。

 ほんと君達は自由にやってるね。神田さんだけだよ? 日々自分の力を向上させようとしてるのは。

 いや、公英の筋トレもあれか。認めるのは癪ではあるけども。


 「はい。じゃあ解散。ちゃんと準備しといてね」


 さてさて。俺は生産者学校の件を誰かに引き継がないと。まぁ、もう俺が口出す段階は過ぎてるんだけど。後はお偉いさんがやってくれるでしょ。知らんけど。進捗だけは分かるようにしておこう。




 「ポテはまたお留守番だな」


 「んなーお」


 家に戻って来てポテと遊ぶ。

 顎を高速こしょこしょしてゴロゴロ唸らせる。

 連れて行ってやりたいけどなぁ。海外はペットを連れて行くのは色々面倒だし。


 「俺達が居ない間にまた太るなよ? せっかく最近痩せてきたんだから」


 「にゃにゃ!」


 猫パンチされた。俺が言ってる事を理解されてらっしゃるんだろうか。

 でもですね。デブ猫だけは許しませんよ。

 ここだけは心を鬼にして言わせていただきます。


 「帰って来た時に太ってたらお土産は無しだぞ」


 「にゃふっしゅ!!」


 猫パンチ連打された。お怒りのご様子。


 「太ってなければ良いんだ。おやつを食べるのもいいけど、しっかり運動もすること。グータラ甘やかされ生活はいけませんよ」


 「にゃおーん」


 あ、桜のとこに逃げた。

 あいつめ。甘やかしてくれる人間を理解してやがる。俺もちゃんと甘やかしてるんだけどなぁ。


 「さて。俺も旅行の準備をしますかね」


 俺ももう慣れたものだ。

 適当に服とかをコロコロにぶち込み、専属操縦士の方にそろそろ仕事ですよと連絡を入れる。

 これでおしまい。やっぱり自家用ジェットを持ってるのは大きいよ。かなり楽チンだ。


 「後は飛行機の中で見る映画の厳選か。台湾と韓国は近いからなぁ。何本も見れないだろう」


 最近のお気に入りはミッションインポッシブ○だな。最終作のスペースバトルは傑作だった。

 宇宙空間でのスタントは中々心が躍ったね。

 あれで、スタントマンを雇ってないってんだから、当時のトムクルー○は狂ってる。

 最終作の時の年齢は80越えだぞ? そんな年齢で宇宙空間で何をやってるんだ。

 


 

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