第113話 第二回ブートキャンプ
「天魔ー! きたでー!」
「お久しぶりです」
ギルドの見回り、神田さんの指導、面接の準備。
そんな風に毎日を意外と忙しく過ごしてると、またまた仕事が増えた。
いや、これは前々からやる予定だったので、仕方のない事なのだが。
「今日からしばらく世話になるわー!」
「柴田さんが一番最初ですね。適当に東京を観光するなりして時間を潰してて下さい。明後日には全ギルド揃うと思います」
「なんや天魔が遊んでくれるんと違うんか」
「俺はお出迎え役なので」
前回の2級合同攻略で『暁の明星』の成長に感化されてみんながこぞって俺への指導をお願いしてきた。一つ一つのギルドに分けてやるのは面倒なのでまとめてやろうと思い、予定を擦り合わせていたのだが、ようやく実現したという訳だ。
そして最初に東京に到着したのが『リア獣撲滅』の柴田さん。
「この前の動画も見たで。なんややばいのが増えたみたいやんけ」
「そうですね。あ、なんだったら公英を呼んできましょうか? 俺はちょっと付き合えないですけど、あいつはいつも暇してるんで」
「やめてくれ。たたでさえうちのギルドは男世帯やねんから。そこに筋肉ダルマなんて見栄えが悪すぎるやろ」
「桜は『風神雷神』と遊ぶのを楽しみにしてたから無理ですしねぇ。陽花を呼んできても良いですけど…まともに話せます?」
「無理に決まっとるやろ」
せっかくだから付き合ってやりたいのは山々なんだけどね。今日は俺がお出迎え役だから、ギルドを離れる事が出来ない。
それならと公英か陽花をと思ったけど、残念ながら拒否されてしまった。
桜は今日到着予定の『風神雷神』の毛利姉妹と会うのを楽しみにしてたから無理だし。
「はぁ。そんなん言ってたらいつまで経っても彼女出来ないですよ」
「余計なお世話や。あんな美人とまとも喋れるお前らがおかしいねん」
世間話もそこそこに柴田さんと別れる。
どうやらギルド員と東京観光に行くらしい。
「ふーむ。『リア獣撲滅』は到着と」
『夜明けの時間』と協会勢力。
『暁の明星』に『風神雷神』。
そして新たに参加したいと言ってきた上位ギルドが二つ。
計、六つのギルドと協会勢力で約一ヶ月間のブートキャンプだ。
かなりの報酬をもらってるので、手を抜く事なんてしない。とりあえず今回の指導で単独ギルドでの2級攻略は余裕でこなせるようになってもらう予定だ。
「毛利ちゃん達はまだ〜?」
ギルド事務所の執務室でぼーっとしてると、桜が待ちきれないといった感じでやってきた。
相当楽しみにしてるらしい。
「予定ではそろそろ到着予定だけど」
「んふふ〜。一緒に遊びに行く約束してるんだ〜」
「さいですか」
同年代ぐらいだしな。話が合うんだろう。
しっかり羽を伸ばしてきてくれたまえ。
「よろしくお願いします!」
「します!」
それから少しして毛利姉妹がやって来て、挨拶をしてくれたけど、すぐに桜に連れられてどこかに行ってしまった。
今日は桜は毛利姉妹達とお泊まりするそうだ。
ポテをよろしくと頼まれてしまった。
「今日到着予定は初めましての所か」
残りは明日以降。
みんなそれなりに忙しいみたいだからね。
「織田さん初めまして。『スキナー』のリーダーをやってます上杉と申します」
「どうもどうも。『スキナー』の活躍はいつも耳にしてますよ。約一ヶ月間よろしくお願いします」
30過ぎのひょろっとした体型の男性。
全然覇気とか感じないよね。これで上位ギルドのリーダーとはとても思えない。戦闘スタイル的に上杉さんは鍛える必要がないからなぁ。
それでも、『暁の明星』と『スキナー』は海外でも有名なんだよ。まぁ、これは以前の合同攻略の時に色々調べてて知ったんだけど。
特にリーダーの上杉さんの能力がね。
『召喚』って能力で、これは今までに自分が倒した魔物を魔力を使って召喚できるんだ。
魔力さえ尽きなかったら一人軍隊も出来る。
格下相手には無類の強さを発揮出来るし、格上相手でも数で圧殺する。で、倒した格上を召喚して優位に立ち回る。中々に面白い戦い方だと思う。
正直、上杉さんには指導する事はほとんどないんだよね。魔力操作を教えるぐらい。
だって上杉さん自身は戦わないし。主にギルド員への指導って事になるかな。
1級とか出てきたら狭間に連れてって魔物を倒すのを手伝うとかも出来るけど。
1級の魔物を召喚出来るようになれば、2級は大体勝てるだろう。偶に相性負けする事あるかもだが。
「まだ全ギルド揃ってないんで、ゆっくりしてて下さい。明後日には揃う予定ですので」
「了解です」
よし。今日のお出迎えのお仕事は終わりだ。
今日もよく働いたね。さっさと家に帰ってポテと遊んでやろう。桜が居なくて寂しがってるかもしれん。多分そんな事はないが。
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第二回ブートキャンプはそんなにがっつりやらない予定です。
新しいギルドを軽く紹介して、軽く地獄を見てもらって、みんなで狭間を攻略して終わりーみたいな流れになる予定です。
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