第11話 攻略
「ねえ〜。絵面が簡単そうに見え過ぎて面白くないんだけど〜」
「実際簡単だし。近付く前に魔法撃っておけば良いんだから。浄化」
匂い以外で攻略を妨げる物はなにもない。
頻繁に浄化をかけないとめんどくさい事ぐらいだな。
これを攻略出来ない地球人類の弱さよ。
火魔法と光魔法の能力持ち集めてゴリ押しでも、ある程度攻略出来ると思うぞ。
魔力回復ポーションも用意すれば確実だな。
「せめて憑依をもっと使って映えさせるとかさ〜。視聴者さんを楽しませないと〜」
そう言ってもな。光魔法が一番楽だし。
火魔法も効くんだけど、焼けた時の匂いがひどいんだよな。
「まっ、サービスしますか。
例の如く、緑色の翼や髪、天使の輪っかを装着する。
「おお〜。初めて見る天使だ〜」
「咲き乱れろ、
「どっひゃ〜!」
迫ってきていた、デュラハンとスケルトンの上位種の混成集団を切り刻む。
……光魔法と大して結果は変わんないな。
弱過ぎるのが悪いんだよ。
桜はゲラゲラと爆笑しながら、しっかりと動画に収めていく。
くっ…。黒歴史がどんどんと…。
何故昔の俺は成長した時に使う事を考え無かったんだ!
確かに今もカッコいいとは思ってるさ!
でも、世間一般の方から見れば、厨二病を拗らせてるようにしか見えないだろう。
せめて、音声はカットとかしてくれないかな。
歩きながら、攻略を進める事約3時間。
とうとう、ボス部屋らしき所に到着した。
道中の恥ずかしい思いになんとか耐えて、ここまで来れたんだ。
もうさっさと攻略して解放されたい。
「ねぇ〜。ドロップ品が多くなって来て、持つの疲れて来たんだけど〜」
「空間魔法に入れるか。
俺は2柱の天使を同時に憑依する。
かなり難易度が高いんだけど、練習して頑張りました。
難易度が高いというか、天使同士仲良くさせるのが難しい。意志というか、何かがあるんだよね。
天使はまだ良いんだ。なんとか仲良くしてくれるからね。
それなのにあいつらときたら…。
あーだめだめ。考えないようにしておこう。
で、両方同時に憑依して何が出来るかというと、魔法を合成して違う属性が使える様になる。
勿論、光と闇を両方使う事も出来るけどね。
光魔法と闇魔法を合成すると、空間魔法になる。
なんでなのかは知らん。そういうもんなんだ。
他にも色々組み合わせがあるけど、それはまたおいおい。
これを使い熟すようになるのに、かなり時間が掛かったんだよなぁ。
2柱同時に憑依出来るって知った時は狂喜乱舞したもんだ。その先の地獄の練習の事なんて考えもせずにさ…。
「
「へ〜。そんな事も出来るんだね〜。憑依って万能すぎな〜い? なんでも出来るじゃ〜ん」
「一々一回憑依しないといけないのが難点だけどな。だから街中で気軽に空間魔法を使えないんだ」
「見た目も金と紫の翼に髪だもんね〜。かなり方向性を間違ったバンドマンみたいだよ〜」
言うな。俺も分かってるんだから。
これに関してはカッコいいとも思えない。
ただただ痛くて恥ずかしい。
片翼は金、片翼は紫。髪の毛はツートーンカラーってやばいだろ。
とてもじゃないけど人様に見せたい姿じゃない。
「ボスはなんだろうね〜?」
「アンデッドなのは、分かってるんだから余裕だろ。さっさと終わらせて牛タン食いに行くぞ。浄化」
「ういうい〜」
どうせ光魔法連打で終わるからな。
歴史的偉業とか知ったこっちゃない。
いつかこれを当たり前に攻略してもらわないといけないんだから。
俺がその道標になってやろう。
「やっぱりか」
ボス部屋に入ると待ち構えていたのは、リッチだった。
大体予想はしてたから驚きはない。
唯のリッチなんて、脅威度も大した事ないしな。
せめて、エンペラー級を連れてこないと。
あいつら魔法破壊してくるからな。
中々歯応えがあるんだ。
「桜ー。しっかり撮れてるかー?」
「だいじょうび〜。心置きなく戦ってくれていいよ〜」
ふむ。やろうと思えば一撃で終わるんだが。
それで人類が勘違いして、実力も伴ってないのに馬鹿みたいに突撃されても困るな。
ここまでの道中で今更かもしれないけど。
「まっ、良いか。それはそれで。俺の凄さを再確認する礎になってくれるだろう」
「何か言った〜?」
「いいや、なんでもない」
我ながら下衆な考えだし、撮られてるんだから気を付けないと。
世間の評価は大事にしたいからね。
「顕現せよ、
特大の光の弓と矢を作り出し、それを手に取る。
なぜ、アマテラスで弓なのか。
いや、言い訳させてほしい。
これね、作ったの中学生の時なの。
当時ね、アマテラスとアルテミスがごっちゃになっててね。全然違うのに。
技を作り出した時は、もう遅かった。
カッコいいし、良いかーって思ってしまったんだよ。
なんか弓とかそっち系の神じゃなかったけーって思いながら作ったんだけど、何故か名前はアマテラス。
もう訳が分からないよね。
テンションが上がって、ノリノリで使ってる時に性悪女神に色々と聞かされて大恥をかいたね。
まぁ、異世界だしバレないから良いやと思ってたんだけど、こっちに帰ってくるとはね…。
俺から申告しなかったらバレないと思うが。
太陽の神と月の神をごっちゃにするとは。
ただの馬鹿でした。
「そーれ、くたばりやがれ」
弓を振り絞り、射出する。
控えめに言ってオーバーキル。
魔王にもダメージを与えた魔法だぜ。
すぐ回復されたけど。
リッチも闇魔法で対抗してくるが、出力が違いすぎるんよ。
哀れ、ボスリッチ。
俺の名声の為に成す術もなく死んでくれ。
放たれた矢は、リッチの魔法も飲み込み直撃する。そうして、光に呑まれる様に消えていった。
「あっけな〜い」
「こんなもんだろ。思ったより時間かかったけどさ。浄化」
流石に1級だからか、ステージが広かった。
ささっ。さっさとドロップ品と宝箱を回収して牛タン食いにいこーぜー。
攻撃魔法より浄化を使った方が多いかもしれんな。
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