第10話 いざ、仙台へ


 翌日。

 今日は早速仙台に向かって攻略をする日なんだが、朝からかなりイライラしている。


 「ほら〜。カリカリしすぎだよ〜。分かってた事でしょ〜?」


 「ムカつくもんはムカつくんだよ」


 朝ご飯を食べながら、テレビでニュースを見てると、探索者の大御所だかなんかが、俺の1級落札についてかなり批判していた。

 過去に3級を攻略した事があるギルドのリーダーだったらしいが、ボロクソに貶してくれている。


 「目立ちたがりの愉快犯。日本の恥ね。くたばれ老害が」


 「目立ちたがりは間違ってないじゃ〜ん」


 それはそう。チヤホヤされるのは嬉しい。

 それでも、たかだか3級を攻略したくらいででかい口叩くのはムカつく。

 何が大御所だよ。異世界ならようやく一人前になったレベルで調子に乗んなよ、老害が。


 「年寄りが嫌いなの〜?」


 「大嫌いだ」


 異世界で何人殺したか分からん。

 平和になった途端、俺は危険だとか言って排除しようとした奴とか。

 魔物災害を長引かせて儲けようと俺の邪魔ばっかりしてきた腹黒皇帝とかな。

 魔王討伐した後すぐに殺したなぁ。


 「私怨も混じってんじゃ〜ん」


 うりうり〜と俺に胸を押し当てて、茶化してくる桜。私怨もないとは言わないが、害悪すぎるだろ。

 もっと俺を敬えってんだ。魔王討伐したんだぞ。


 「1級攻略したら、絶対排除してやる。流石に現代で殺しはまずいからな。社会的に抹殺する」


 顔もムカつくんだ。人を批判する為に生まれて来たような顔しやがって。


 「さて、切り替えてさっさと1級攻略しよう。晩飯に牛タン専門店も予約してあるし」


 桜の胸の感触を堪能してたらなんかどうでも良くなってきたな。

 おっぱいとは偉大なり。世界も救えるぞ。

 俺はそれを餌に魔王討伐頑張ったからな。





 「野次馬多過ぎだろ。全員吹き飛ばしてやろうか」


 「う〜ん。下卑た視線がうっと〜し〜な〜」


 「そんな格好してたら男なら見るに決まってるだろ。俺は男共を支援しよう」


 「能力の都合上仕方ないじゃ〜ん」


 とはいえ、ここは我慢。

 民意は大事。こいつらが俺を賞賛して回り回って批判した老害が堕ちて行くんだからな。

 あいつだけは掌返しても許さんぞ。


 「さっさと入るか。写真とか滅茶苦茶撮られてるけど。有名税ってやつだな」


 「まだ炎上して有名になっただけだけどね〜」


 だまらっしゃい。

 



 「うわっ。最悪だ」


 「ひどいにお〜い」


 入った瞬間にどの系統の魔物か分かってしまった。

 狭間の中は、洞窟だな。

 1級だからもっと異世界っぽいのを期待したんだけど。


 「アンデッド系か」


 「あたし相性悪〜い」


 倒すのは簡単なんだけどな。

 とにかく匂いがだるい。


 「憑依ポゼッション:慈悲ミカエル


 「浄化」


 「あ〜ずる〜い! あたしにもかけてよ〜!」


 「どうせ何回も掛け直す事になるんだから、最後だけで良くない? 俺は嫌だけど。浄化」


 「もう〜。自分本位なんだから〜。そんなんじゃモテないよ〜?」


 はぁー? 経験人数2人ですけど?

 モテモテじゃねぇか。


 さて、案の定出て来たのはアンデッド系。

 ごついスケルトンやらグールやらゴーストやら。

 うーん。1級だからか上位種ばっかりだな。


 「降り頻れ、光の雨ライトシャワー


 倒すのはマジで簡単なんだ。光魔法が特効だし。

 光魔法持ちなら誰でも倒せるんじゃないの?

 使いこなせてればだけどな。


 「う〜ん。あたしは魔石とドロップ拾う係かな〜動画撮影もしないとだし〜」


 桜は相性が良くないって事で裏方に回った。

 アンデッドと戦いたくないって理由がほとんどだろうが。

 糸に魔法属性とか付与出来ないのかね。

 火か光を付与出来るなら、倒せるぞ。

 能力名が万能糸なんだ。糸でなんでも出来るって事だろ。

 魔法付与も出来る出来る。能力とは本人の捉え方次第だからな。


 「ん? デュラハンもいるのか。大して変わらんが」


 指先を向けて極細のレーザーを撃つ。

 アンデッドはマジでヌルゲーなんだよな。

 てか、俺は全ての属性に対応出来るからな。

 天敵は魔法が効かない魔物くらいか。

 それも対処の仕様はあるしな。

 やはり、俺強すぎでは? 相手が弱いのもあるけど。


 「だんちょ〜。撮ってるんだからね〜。恥ずかしいポーズとかはしない方がいいよ〜」


 「カットしてくれ」


 「ノーカットで流すんでしょ〜。編集すると疑われるって言ったのはだんちょ〜じゃ〜ん」


 うぐっ。そうだった。

 撮られてる事を忘れてて、自分のカッコ良さに酔いしれてた。

 そういえば、桜はギルドを作ってから俺の事を団長と呼ぶようになった。

 理由は知らん。少し距離が出来たみたいで寂しい。……名前で呼ばれた事あったっけな?


 「アンデッドの素材って安いんだよなぁ。1級だからそれなりの値段はするだろうけどさ。浄化」


 「魔法石だけでも十分大金だよ〜。今日の牛タン代はばっちしだね〜」


 「ギルド事務所やら、部屋の改装にもお金かかるしもっと稼げる魔物が良かったな」


 「残りの1級に期待だね〜。3つも攻略したら流石に出来るでしょ〜」


 そうだけどさぁ。家具とか家電にも色々拘りたいじゃんかよー。

 車も買いたいし、お金はいくらあっても良いと思うんだ。


 ドラゴンとか出て来ないもんかね。

 あいつらは捨てる所がないくらい金になるんだ。

 肉も美味いしさ。

 1級で出て来ないだろうけど。

 1級より上ってどうやって判断するんだろう。

 滅多に出て来ないから、そんな必要もないのかな?

 もうワイバーンでも良いから出て来てほしい。



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 サポーター様向けの限定公開を初めて投稿しました!

 初めてという事でお試しの短めですが【サイコパス】の短編? 的なのを書きました。

 妲己ちゃん日記1をお楽しみ下さい!


 後、X始めました報告の近況ノートも更新しましたよって。

 良かったらフォローしておくんなまし。


 

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