飛梅と小説家

三日月月洞

飛梅と小説家《薄氷奇譚》1


   序



 嗚呼。

 嗚呼。

 答えておくれ、水面のひとよ。

 今宵も微かに耳まで届き、私の心を慰める、迦陵頻伽かりょうびんがの此のさえずりは、はたして、何方いづかたより聴こえてくるものであろうか。

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