第14話
見取り図を読み取った感じでは、階段を上ってそのまま右へ曲がった後にまっすぐ歩けば倉庫があるらしい。
という訳で、私と一織ちゃんは小走りで階段を上った。あまりにも急いでいたせいで、危うく廊下を歩いていた菊さんと正面衝突しかけた。菊さんは驚いたような表情をしていたが、私たちはそんなことを気にせずに倉庫へ進んだ。
倉庫の鍵はなかなか開かなかった。網縫館そのものが古いせいで老朽化したのだろう。ピッキングでもしようかと考えていたが、何とか鍵を開けることができた。扉も扉でなかなか開かず、扉が開くころには私の手も真っ赤になっていた。
倉庫の中はとても暗かった。入り口付近が外からの光でうっすらと見えるだけで、他はとてもだが判別がつかないほどだった。しかし一織ちゃんが「私のスマホならライトの代わりになるかもしれません」と言ったため、そうすることにした。
ライトが使えるおかげで倉庫の中まで調査できた。倉庫はかなり広いが、荷物がたくさんあったせいか、足場はそこまで多くなかった。しかし、いかにもこの事件における重要な場所であるといえるような証拠が多く散らかっていた。
床には何かの破片が散らばっていた。何かあるのかと思いあたりを見渡せば、壁に触ることで光がつくタイプのライトが、正確にはそれだったものがあった。相当強い力か勢いで破壊されたと思われる壊れ方だった。
他にも、私たちが入った扉には血が着いていた。少し怪我をしてしまった、ぐらいのことはありえるだろうが、扉に着いていた血はとても多い。人一人死んだと考えるのが道理ともとれてしまうほどに。
そしてそれらを結びつける決定的なものがあった。猟銃だ。事件が起きていなければあるのが不自然だが、今となっては違和感も何も無い。
そしてこの猟銃がある人物の殺害に使われたと思われる。その人物とは、玉藻さんだ。彼女の死体の頭部には小さな穴があった。この小さな穴、もし銃弾だとしたら?露天風呂に沈んでいた彼女の頭部の不自然な傷が何なのか説明がつくのだ。
さらにこの猟銃、倉庫で使われたと思われる点がある。それこそ先ほど説明した壊れたライトは犯人が猟銃で撃ったことで壊れたと考えられるし、扉の血も人が猟銃で撃たれたことで着いた血だと考えられるだろう。
そして私の中で、それらが繋がった。犯人は倉庫内でライトを撃ったあとで玉藻さんを殺害して、死体を露天風呂へ持っていったのだ。
この推理はかなり穴があり、それっぽい言葉を並べただけの陳腐なものに聞こえるかもしれない。しかし私たちは倉庫の中で他にも多くの証拠を集めた。これらが繋がれば、私の推理に確実性が増すだろう。
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