第9話
普段の凪の性格はハッキリ言ってやかましい。アニメとか漫画とかで見る、でかい声で話すキャラのようなものだ。
しかし何だか今の凪はどこか落ち着きがない。いつものテンションからは想像すら出来ない焦り方をしている。
凪「響、早く、早く大広間に!」
凪がここまで落ち着かないことはあまりない。いったい、何があったのだろうか?
__この考えは、恐ろしいものとなって現れた。
布団から出た私は凪に着いて行って大広間へと向かった。大広間と言えば昨日夕食を食べた所だ。
あれ?私昨日の記憶があそこで止まってる気がするんだが。いつの間に自分の部屋に戻ったのか。
そして走って大広間へ向かった私は上を見上げる女性の姿を見た。ここの主人で名前は火車 椿(ひぐるま つばき)という。昨日の夕食の時にいた菊さんの奥さんらしい。
そして凪はそのままうつむいた。何があったのか、椿さんの視線の方を見ると、そこには今回の事件が幕を開けたことが形を持って存在していた。た
そこにあったのは首を吊られて、足が欠けた一玉 花菜の死体だった。
まだ死んだ確証は無いが、あまりにも高すぎる。部屋の机に乗った程度では救い出せない。私たちが見つけた時点で彼女は助からない運命なのだ。
凪「なんでや…花菜…アンタ、ここで自殺したんか…」
と凪が悲しみに打ちひしがれていた。しかし私は探偵なのだ。その考えの矛盾にすぐさま気づいた。
響「凪、その考えは無理があるよ。」
凪「無理?無理ってどの辺が…?」
まず自殺するにはこのとんでもなく離れたところにロープをくくらないといけない。人間の体格ではどう頑張っても届かないし、ここにある机や椅子を使っても危険が伴ううえに、動かした証拠が残る。
もうひとつ、花菜さんは両足が欠けているのだが、自殺だとしたらどうやって切り落としたというのか。包丁やカッターでは切り落とせないだろうし、斧や刀で切り落としたならそれらが落ちているはずなのに、そんなものはどこにもない。それに切り落とした足がどこにもないのだ。
これらが、花菜さんの自殺を否定する証拠だ。
凪「な…じゃあ花菜は」
響「あぁ、自殺なんかじゃない。何者かに殺されたんだ」
「あの、少しよろしいですか?」と椿さんが言った。
椿「あちらの一玉さんの死体についてなのですが、両足が欠けているのがどことなく人喰い蜘蛛の伝説になぞらえたような気がしまして…」
そうか、ここはかつて残忍な妖怪「人喰い蜘蛛」が住んでいた所だ。足がないということは、自信の犯行を人喰い蜘蛛の仕業だと思い込ませることも可能だろう。
いや、もしかしたら本当に奴はいるのかもしれない。
響「なるほど、だったら私が花菜さんを殺した真犯人の正体、人喰い蜘蛛の正体を暴いてみせましょう」
私は決意を固めた。狡猾な殺人鬼「人喰い蜘蛛」の正体を暴き、化けの皮を剥がさせる。
私は許さない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます