第2話 つまらない授業

講義では現在倫理をやっている。今日のテーマは.....「命」だ。

授業を簡単にまとめると、命は金には換算できない。その人の生き方や今後によって、命の価値は上下するかららしい。俺は欠伸をしながら、頭の中で考え事をしていた。それは授業する前に小雪と話した事だ。


主人公「......命の価値かぁー」


......小雪の話が本当だったとして、どうやって今後を測定するのかだ。人の運命はその日その日によって変わっていく、未来を見ることなんて不可能なはずだ。

...じゃあどうやって?俺の頭の中には?マークがぐるぐると回り浮かび上がる。


先生「......だけどね。その時点での命の価値を測定することは、ある程度は可能なんだ。」


先生はしょぼしょぼとしている目を開かけ、チョーク持ち、カタカタと書き始めた。


先生「例えばの話なんだが、現在社長をやっている20代の男と、人を10人殺して、牢屋に投獄されている60代の男。どっちの方が、未来があると思うか?」


そんなの社長をやっている20代の男だろう。100人に聞いても150人が20代の男を選ぶだろう。1+1と同じくらい簡単な選択だ。


先生「......うん、20代の男だね。」


先生はうんうんと頷き、優しい顔を浮かべる。しかし、その表情がどんどんと曇ってゆく。


先生「......だけど、これは現時点なんだよ。もしも20代の男の会社が潰れて、100億円の借金を負ったら?そして、60代の男は無罪で、警察を訴訟して5億円もらったら?」


主人公「...........」


そんなの夢物語だ。


先生「夢物語かも知れない。だけど誰も否定できない。断定できない。それが未来なんだよ。」


この人の授業はつまらない。俺はずっとそう思っていた。生きる睡眠用bgmだと思っていたが、今日の講義は、ここにいる生徒全員の心を奪っていた。


先生「では今日の講義はここまで、次回までに今日の内容のレポートを書いてくるように」


そう言って先生は帰って行った。いつもは、「めんどー」や「眠かったわw」と飛び交うはずだが、今日は違った。全員机に座り、レポートを書いていたんだ。


......勿論俺もレポートを書いていた

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る