見える現状と不可思議な未来

魂霊白夜

第1話 命

俺は「寿命」を売った。理由はこの世界に生きる意味を見いだせなかったからだ。俺は今20後半だが、職はなし、恋人も彼女もいない。もう生きるのが辛くなってしまったんだ。だから俺は残りの寿命を1年だけ残して、それ以外は全て売ってしまった。

......お前ら、俺が売った40年は何円の価値だったと思うか?それは40万円だ。俺の40年は、会社に勤めてれば1ヶ月の給料と変わらないくらいなんだ。笑えてくるだろ?あぁ笑いたいやつは笑えよ。もう笑いものになる事しか出来んないんだから......





主「寿命を売る?」


俺はその言葉に首を傾げ、困惑気味た顔でそいつの顔を見る


主「そんなのあるはずないだろ」


俺はマジレスするように、おもんない回答をぶつける。しかしそいつは


?「ほんとなんですよ!寿命とか健康をそれ相当の値段で買い取ってくれるんですよ!」


こいつは小雪。小雪は俺の後輩にあたる人物で、こんな風に俺の傍に来てくれる可愛い後輩だ。


小雪「嘘だと思うなら、ここに行ってみてください!」


小雪はポケットからスマホを取り出し、Googleマップを開き、俺に見せてきた。


主人公「ここは......図書館?」


そこには酩酊図書と表示されていた。画像を見てみるが、相当年季が入ってる建物だろう。


主人公「ここに行ってどうするんだ?ここで買い取ってくれるのか?」

小雪「ここで話を聞いたので、気になったら行ってみてください。」


私も気になるので。と小雪はポツリと最後に言う


主人公「.....て言うか、これを俺に言ってどうするんだ?俺に寿命を売って欲しいのか?」


考えてみれば、寿命売れると教えてくれる=早く死んでほしい。こう解釈出来てしまうんだが。


小雪「そんな訳ないですよ!でも先輩お金に困ってましたし、餓死で死んじゃうよりかは、寿命1年売った方が良いと思って......」


なるほど、善意で小雪は言ってくれたのか。確かに俺は金がない。趣味は読書だが、本を買うための金を調達するために、読み終わった本を売ったりしている。


主人公「...そうか、ありがとうな。こんな俺を気遣ってくれて、じゃあ俺授業行ってくるわ」


時刻は11時、3限目の講義が始まる時間だ。俺は小雪にそう言って、ホールから出ようとする。しかし


小雪「先輩!」


去ろうとする俺の手を握って、静止をかける小雪


主人公「どうした?」


俺は優しい声色で、そう言った。


小雪「......ほ、本当に生活が厳しくなったら、私を頼ってください!先輩人に頼るの苦手な人ですけど、私、先輩が死んじゃうの嫌なので」


いつも俺を馬鹿にしてくる小雪だが、今日はいつもより弱々しかった。


主人公「....あぁ、そうさせてもらうよ。」


そんな一言だけを残し、俺は授業に向かった。

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