5 ……先輩。大好きです。(愛してます)
……先輩。大好きです。(愛してます)
はち先輩は覚えていなかったかもしれないけれど、菘がはち先輩と出会ったのは菘が高校生になる前のことだった。
二年前の八月。
山根ことりが元気よく「先輩!! さようなら。また明日学校で!」と言ってはちの前からいなくなってから、はちは一人、噂のお守りを手に入れるために街の中心にある神社の前までやってきたのだけど、その入り口のところにある赤い鳥居のところに一人のはちやことりと同じ中学校の制服を着た小柄の女の子が立っていた。
変だと思ったのは、その女の子がお面を顔の後ろにつけていることだった。
まあ、もうそろそろお祭りの季節ではあるし、どこかでお祭りでもやっていたのかもしれない、とそんなことをぼんやりと考えながら、はちは赤い鳥居をくぐり、石段を登って、神社の本殿まで移動しようとした。
「待ってください」
そんなときに、はちはそう声をかけられた。
「? はい」
面識がない女の子に声をかけられて、不審に思いながらもはちは言う。
「あの、あなたは椎名はち先輩……ですよね?」
自分の名前を言われて「そうです」とはちは答える。するとその女の子は安心したように、にっこりと笑うと「私、ことりの、山根ことりの友達です」とその女の子ははちに言った。
その言葉を聞いて、ああ、なるほど。とはちは思った。
それからその女の子は少しはちと話がしたいというので、はちは「わかりました」と答え、そのお面をつけた女の子がにっこりとまた笑って、それから二人は一緒に神社の本殿のところにまで移動をした。
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