第42話
商業ギルドとの交渉を終えた翌朝、ヨウイチ達はダンジョンの第4層に来ていた。
商業ギルドからもらった一般の小船を使い、慣れておく為だ。
「よし、じゃあまずは湖の端まで行ってみよう。」
「了解!」
5人は小船に乗り込み、ヨウイチは船底に衝撃吸収のスライムの核を張り付けた。
これで多少は攻撃されても大丈夫なはずだ。
俺たちはダンジョンの端を目指して船を漕ぎだした。
(・・・う~ん・・・やっぱり揺れるな・・・)
そう思いながらも船は進んでいく。
湖にはサハギンも現れるが、船底に衝撃吸収のスライムの核を張っている為、攻撃をされても問題なく進むことができた。
小船の操作を皆がし終えると、次は船の上からサハギンを攻撃する練習を始めた。
まずはマヤが魔法を放つ。
「・・・ファイアアロー!」
放たれた炎の矢は、サハギンの頭部に命中する。しかし、一撃で倒すには至らないようだ。
(なるほど・・・湖に火魔法だと威力も落ちるのか・・・)
「マヤ、火魔法以外も使ってみてくれ。」
「はーい。・・・ウインドアロー!」
風の矢は火の矢と違い、威力を大きく落とす事なくサハギンへと命中。
サハギンは絶命した。
(なるほど、多少威力は落ちるがそれでも問題ないようだな・・・)
その後もマヤは練習を続け、船上での攻撃方法のレパートリーを増やすことができた。
次はヨウイチの番となり、アイテムボックスから槍を取り出した。
そして、船から身を乗り出して槍を突き出す。
「グサッ!」
槍はサハギンの頭部に命中した。
(・・・なるほど、槍での攻撃も威力は落ちるけどこれなら問題ないな。)
その後もヨウイチも様々な武器で試してみたが、やはり槍での攻撃が1番威力が高いようだ。
ある程度練習が終わると陸へと上がり、船上での戦いについて皆と話し合った。
「やはり槍が一番威力が高いようだな。」
「そうね・・・でも、船上での戦闘はやっぱり難しいわね・・・」
リナがそう答えると、他の皆も頷いていた。
「そうだな・・・とりあえず、船上での戦い方はある程度わかったから良しとしよう。あとは繰り返しダンジョン内で練習だな。」
「わかったわ。」
皆はヨウイチの言葉に頷いた。
その後、湖の端まで船を進めたが、サハギンは現れなかった。
どうやら小船での移動でも問題はないようだ。
(よし!これで明日は第4層の攻略に挑めるな!)
ヨウイチは皆と手分けしてアイテムボックスへと小船を収納すると、一旦休憩をした。
「慣れない船上での戦闘だ、疲れたと思うから、一旦休憩にしよう。」
「そうね。」
サヤカが同意し、他の皆も頷いた。
5人は休憩を終えると再び船上の練習へと戻った。
第4層を進んでいくと、前方にサハギンの群れを発見した。
(よし!ちょうどいい練習相手だな!)
ヨウイチは槍を取り出し、船から身を乗り出した。
そして、槍を突き出すと・・・サハギンに命中し倒した。
「おぉ、さすがヨウイチ君!」
(よし!この調子でどんどん倒していこう!)
ヨウイチたちは次々にサハギンを倒していく。
夕方になると、船の操作もモンスターの倒し方も様になっており、今日の練習を終える事にした。
「みんな、お疲れ様。」
「ヨウイチ君もお疲れ!」
「商業ギルドに頼んでいる小船はあと2日はかかるから、ギリギリまで練習して取りに行こう。」
「了解!」
ヨウイチ達は、商業ギルドで注文した小船の受け取りまで、十分に練習した。
小船の受取日、商業ギルドに着いたヨウイチたちは受付へと向かい、小船の受取手続きを行った。
「では、こちらがご注文いただいた船です。」
そういって出されたのは、通常の小船よりも少し大きいサイズだった。
ヨウイチは早速船を囲み、品定めを行う。
(なるほど・・・これなら問題なく湖を渡れそうだな・・・)
船のベースは木だが、船底は鉄で強化がされており、更には衝撃吸収のスライムの核が貼られている。
「うん、これなら大丈夫そうだな。」
「では、料金の方をお願いします。」
受付嬢にそう言われたヨウイチは、お金を支払うと小船をアイテムボックスに入れた。
(よし!これで湖を渡ることができるな!)
「本番用の船も手に入れたし、明日からは第4層の攻略に乗り出すぞ!」
「「「「「おー」」」」」
商業ギルドを出たヨウイチたちは、ダンジョンの第4層の攻略に向けて準備を行い、家へと帰った。
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