召喚され追放された頼りない鑑定士の俺ですが、何故だか周りから頼りにされて順調に成り上がっていきます。
Ash藤花
第1話
キーンコーンカーンコーン・・・
「あ、授業終わった。じゃあ、俺部活行くわ。」
「うん、頑張ってね!」
俺は隣席の女子に見送られて2-Cから出ようとしたが、急に周りが明るくなり教室から出られなくなってしまった。
クラスメイトも騒然としており、地面に幾何学な模様が浮かび上がり意識を失ってしまった。
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「ん?ここは?」
周りを見るとクラスメイト全員がいる。
みんな周囲を見回して不安がっているようだ。
「あ、佐藤君・・・」
「おう、委員長か・・・一体何が起こったんだ?」
「私もよくわからないんだけど、授業が終わって立ち上がったら急に足元が光って気を失ったの。」
「みんなそうなのか?」
クラスメイトに聞いてみると、俺と同じ状況のようだ。
1人1人の話を聞いても結局何もわからないまま時間だけが過ぎていく。
ただ、異常事態ということだけは分かる。
そこに、全身鎧の大男たちが乱入し俺らの周りを囲んだ。
「なんだお前らは?」
「・・・」
「黙ってないで答えろよ!」
クラスメイトが1人鎧の男に食って掛かった。
「待て、相手を刺激しない方が良い。」
そう言って俺は割って入って落ち着くように説得した。
「佐藤・・・でもよ・・・」
「多分あいつら俺らを殺すつもりはないと思うぞ。」
「静粛に!!」
鎧の男たちの中から、偉そうな男が出てきた。
「君たちは異世界より召喚された勇者だ。」
「はぁ?」
俺たちは困惑した。何言ってんだこいつ?
「私はこの国、アガルタ王国の国王、バルス・フォン・アガルタである。」
国王と名乗る男が名乗ったが、クラスメイトは誰一人として反応しない。
「おい!お前ら!!国王様に対して失礼だぞ!!」
「良い、アルフォート。」
国王の脇に控えていた騎士が、激昂して剣を抜きかけたが、それを国王は止めた。
「君たちにはこれからステータス鑑定を受けてもらう。」
「ステータス?何だそれは?」
クラスメイトの1人が質問した。
「自分の能力値を数値で表したものだ。それによって今後の訓練内容や配属先が決まるのだ。」
(この世界ではラノベのようなレベルやステータスという概念があるのか。)
「では、こちらに。」
俺たちは国王に促されるまま、王城の奥へ案内された。
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そして現在、俺たちは大きな水晶の前にいる。
「この水晶に手をかざせば能力が分かるぞ。」
(なるほど・・・これで能力がわかるのか・・・)
俺は水晶に手をかざし水晶に表示されたステータスを見た。
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【名前】佐藤洋一
【種族】人族 【年齢】17歳
【レベル】1/100
【職業】鑑定士
身体能力
【HP】100/100
【MP】100/100
【攻撃】50
【防御】50
【魔攻】50
【魔防】50
【敏捷】50
スキル
【鑑定】
【アイテムボックス】
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「おい、佐藤!お前どんな能力値だ?」
クラスメイトの1人が俺に聞いてきた。
「えっと、HPとMPが100で他は全部50だな。」
「はぁ?お前雑魚じゃないか!」
クラスメイトの1人がキレた。
(え?なんでキレてんのこいつ?)
「おい、アルフォート!佐藤を鑑定結果を見ろ!」
「はっ!」
(なんで命令口調なんだよ・・・)
アルフォートと呼ばれた男が俺のステータスを見た。
「なんだこのステータスは!?使えないにも程がある!!」
アルフォートが驚愕の声を上げた。
「え?なんで俺ディスられてんの?」
「お前のような雑魚に用はない!さっさと失せろ!!」
国王も俺に罵声を浴びせる。
(は?なんでこの2人はこんなにキレてんだよ・・・)
俺は訳が分からなかったが、周りの騎士達に連れられ城から追い出されてしまった。
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一人無一文で城から追い出された俺は途方に暮れていた。
(はぁ・・・どうすりゃいいんだよ・・・)
国王にキレられていたが、俺の能力が何だったのだろうか。
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ステータスを鑑定しました。
---
(あ〜そういえば俺の能力って見れるのか。でも、この数値って低いのか?)
あの騎士が言っていた『使えない』という言葉が気になるが。
「鑑定!自分の能力値が見たい!」
----------------------------------
【名前】佐藤洋一
【種族】人族 【年齢】17歳
【レベル】1/100
【職業】鑑定士
【状態】焦燥
身体能力
【HP】100/100
【MP】100/100
【攻撃】50
【防御】50
【魔攻】50
【魔防】50
【敏捷】50
スキル
【鑑定(神)】▼
【アイテムボックス(神)】▼
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「ん?神?」
(なんだこのスキルは。それに、鑑定が神ってどういうことだ?)
自分の能力値が見れることに驚いたが、その次に気になったのが【アイテムボックス】だ。
異世界転生系の小説ではよく出てくるチート能力だが、まさか自分が手に入れるとは思っていなかった。
しかし、俺のステータスはそんなに低いのだろうか。
「お、スキルの▼ってなんだ?」
ステータス画面から▼の部分をタップした。
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【スキル詳細】
・鑑定(神)・・・全てのモノを鑑定することが出来る。生物、非生物問わず、対象の情報を読み取ることが可能。対象の情報を読み取り倒すことで所持しているスキルを自分の経験値にすることが可能。また、情報を改竄することも可能。隠蔽系のスキルで情報を隠すことは出来ない。ただし、レベルが自分より低い相手の場合のみ有効である。対象の情報を読み取る際はMPを消費する。
・アイテムボックス(神)・・・生物以外のモノを亜空間に収納することが出来る。容量は無限で、出し入れする際もMPを消費することはない。また、時間経過による劣化もない。生物を入れることは出来ないが、死体なら可能。使用者のレベルによって収容出来る数に制限がある。
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(なるほど、これがスキルの説明か・・・)
自分のステータスを見て納得した。
「でも、このスキル説明だと容量無限のアイテムボックスはチート能力じゃないのか?」
(まぁ、鑑定も神ってついてるし、このスキルがチートなのは間違いないか。)
とりあえず当面の生活資金を手に入れなければならない。
(金を手に入れるには・・・やっぱりラノベ通りだと冒険者ギルドかな?)
町の人に場所を聞き、城から追い出された足でそのままギルドへ向かった。
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「何か御用でしょうか。」
ギルドの受付嬢が俺に声をかけてきた。
「冒険者登録をしたいんですけど、ここで出来ますか?」
「はい、可能です。お名前を伺ってもよろしいですか?」
「ヨウイチです。」
「ヨウイチ様ですね?ではこちらの用紙に必要事項を記入した後、この水晶に手を当ててください。」
受付嬢が俺に紙とペンを渡した。
「代筆は可能ですが、いかがしますか?」
この国の字なんて知らないので、お願いした。
「お願いします。」
「では、お名前と年齢、種族をお願いします。」
「名前はヨウイチで年齢は17歳・・・」と答え、水晶に手を当てる。
「ありがとうございます。冒険者カードが出来るまで少々お待ちください。」
そう言って彼女は奥の部屋へ入っていき、しばらく待っていると受付嬢が戻ってきた。
「こちらが冒険者カードです。」
そう言って俺にカードを手渡した。
冒険者カードを見た。
(ん?職業も表示されるのか。)
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【名前】ヨウイチ
【種族】人族 【年齢】17歳
【レベル】1/100
【職業】鑑定士 【ランク】Fランク
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(ふむ、これが俺の冒険者カードになるのか。)
「ありがとうございます。」
お礼を言った後、ギルドを出た。
(まずはこの世界の常識を知らないとな・・・)
図書館に行くことにした。
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「ここか・・・」
目の前には大きな建物があった。中に入ってみると、そこには大量の本があった。
「さて、何から読むか・・・ん?」
本棚に【この世界の常識】と書かれた本を見つけたので手に取ってみた。
(とりあえず読んでみるか。)
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【この世界の常識】
1,ステータスについて 2,種族 3,貨幣 4,冒険者について 5,ダンジョンについて 6,魔物について 7,魔法について 8,スキルと職業について
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(ふむ、まずはこのステータスからだな。)
ステータスのページを開いた。
1,ステータス
(なるほど、ステータスはあの大きな水晶でしか見れないのか・・・げっ!俺のステータス、10歳の子供の平均値じゃないか!そりゃ低いと言われるはずだ・・・)
次のページをめくった。
2,種族 人族 ,獣人 ,魔族 ,妖精族(エルフやドワーフ) ,龍族
(なるほど、この世界には人族以外にもいるんだな・・・)
3,貨幣 銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨、大白金貨
(次は貨幣についてだな・・・)
(銅貨10枚で大銅貨1枚か・・・物価も日本と同じぐらいかな?硬貨を入手したら鑑定してみるか・・・)
4.冒険者について・・・
5,ダンジョンについて・・・
6,魔物について・・・
7.魔法について・・・
(魔法!!俺も使ってみたい!!)
8.スキルと職業について
(ん?普通の鑑定士ってステータスを鑑定できないのか。)
とりあえず、少しは常識について学べたので、図書館を後にした。
(さて、次は冒険者ギルドで依頼だな。)
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