(四)

 北郷は体を揺さぶられて目が覚めた。最初は地震かと思ったが違った。肩に手を置かれて、大きく体を揺さぶられたのだった。

 北郷が目を覚まして体を起こすと、殺風景な部屋にワイシャツやスーツ姿の男女が複数人いた。

 そしてそのうちの一人が、目を覚ました北郷に一枚の紙を見せて顔の前に近づけてきた。

「これがなんだかわかるか」

 ワイシャツ姿の高齢の男性が言った。

 寝ぼけて目の焦点が合わなかった。だが合っても、それが何の紙か、知りたくもなかった。どうせそれが令状や逮捕状なのだろう。どうでもよかった。

「どうしてここがわかったんだよ」

 だから、そう言ってやった。まさかとは思うが、大隅さんが用意したセーフハウスがどうしてバレたのか。これも警察の力なのか……。


(続く)

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