(二)-18

 福島が車を発進させた。

 道は行き違いがギリギリできない程度に狭い一方通行の路地だった。

 すると、前方から車のライトが見えた。ハイビームでまぶしい。しかも明らかにこちらに向かってきていた。

「おいおいおいおい! ウソだろ。ここ一方通行なんだぞ」

 福島は慌てた。

 車に急ブレーキがかかる。しかし、停止する前に向こうの車と正面衝突した。

 その衝撃で、運転席と助手席ではエアバッグが作動した。

 膨らんだエアバッグを払いのけようとしていると、車と窓をバンバン叩く音が聞こえた。

 横を見ると、見知らぬ男たち何人かが、「おいこら! てめえが北郷か!」などとわめきチラシながら窓をバンバン叩いてきた。

 福島は「クソッタレ、こいつら、例の組のヤツだ」と言いながら車を急にバックさせた。


(続く)

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