(二)-8

 ミドルエイジ以上のマダム向けの洋服を取り扱う個人経営の衣料品店の前を通り過ぎるときに、北郷は自転車をその店の近くを走らせた。店の前に陳列しているハンガーの中から一着服を掴み、そのまま自転車を走らせた。

 北郷は自分が掴んだ服がどういうものか、前を見ながらチラッと確認してみた。スパンコールがちりばめられたヒョウ柄の上着だった。とりあえず、上着なら何でも良かった。

 ともかく自転車を漕ぎながら、北郷はなんとか上着を着ようとした。その際、危うく何人か通行人にぶつかりそうになった。


(続く)

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