第26話 人生は選択肢の連続


 私は何より自分の心に忠実なんだけれど、それでいて感情というものを信頼してはいない。

 私には生まれつきの病気があって、けれどそれが発覚したのは大人になってからだった。私は自分が病に侵されていることを知らず、また周囲にも気づかれずに大人になってしまったのだ。

 私の病というのが簡単に述べると、代謝ホルモンが自分では出せないというものだ。私はお世辞にも活発な人間ではなく、むしろベッドに横になっていることが多かった人生なんだけれど、それも病気のせいだったらしい。

 だから感情の機微なんて、どうせホルモンバランスのあれこれなのだ。私の人生観も、価値観も、これまでの私のホルモン分泌の積み重ねなのだろうと思っている。

 気まぐれな私の心は、今日も私を振り回している。昔もそうだったなんて、昔から変わらないなんて思う。

 君のことを好きになったり、嫌いになったり。

 君に会えない人生でさえそうなのだ。私は、昔の自分を否定しない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る