第25話 わかりやすい依存先


 実を言うと、これは実験だ。

 私がどれだけ君を書き続けていられるのか。私がどれだけ君を想い続けられるのか。

 時間が解決するという言葉を、一年前の私は無邪気に信じていた。大切になり過ぎた君を捨てた一年前の私は、身軽になった自分を、少し喜んでさえいたのだ。これでもう、私は君のために思い悩むことは無い、君が私以外の誰かと話しているのを見るだけで苦しくなる生活とはおさらばだ……と。

 それが希望的観測でしか無かったことは、今になっては言うに及ばず。

 しかし、それが悲しいことだとは限らない。

 面白いじゃないか。諸行無常だの万物流転だの、世界を支配する絶対法則にこの私がいつまで抗っていられるのか。私の心が、いつまで昔のままでいられるのか。

 二番目のダンテになろうとは思っていない。私は何も願ってはいない。

 だからこれは実験なのだ。結果がどうなろうと、私は小説にするだけだろう。

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