第20話 気になってはいたからさ


 ハマっているらしいゲームを君が勧めてきた。SNSでもかなり話題で、イラストをよく見かける新作ゲームだった。

 気になってはいたが、絵柄が微妙に好きじゃなかったからスルーしようと思っていた。私はその前半部分だけを君に伝える。君は面白いよと熱心に布教し始めた。私は仕方が無いフリをしてダウンロードし始める。SNSで回ってきた生半可な知識で、君の話に相槌を打つ。

 画面を連打してチュートリアルを流す。子どもの頃は説明書とか読むのが好きだったんだけれど、大人になってからめっきり弱くなってしまった。まあたかがソシャゲだ。やっていれば覚えるだろう。ソシャゲには珍しく、いわゆるユーザーランクとかレベルは無いらしい。

 一か月経って、私はその一点にひたすら感謝することになる。

 平たく言えばハマってしまった。

 一方その頃の君と言えば、飽きっぽい性格が災いして、ログインすらしなくなっていた。

 こうして私と君は、立場が綺麗に逆転することとなった。私は相変わらず退屈な顔をして、推しの実装ガチャを引く。

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