第9話 他力本願くそやろー


 なんか奇跡起きないかなーっと思っている。なにか奇跡が起きて、君からもう一度連絡が来ないかな、と。

 奇跡の敷居が低いのは自覚している。こんなのは私から連絡を送ればいい話だ。君は普通に良い奴なので、多分普通に返ってくる。ブロックもされていないだろう。君のことだからトントン拍子に話が進んで、次の日には会うことにすらなっているかもしれない。一年越しの再会を。

 それでも私は臆病なので、君から連絡してくることにこだわる。君が絶対に私を拒絶しないという証が欲しい。九割九分九厘、君は私を受け入れるけれど、残りの0.01パーセントの可能性に、私は一歩を踏み出さない。

 バカみたいだな、と思っている。たった0.01パーセントの数字に、それすら私の被害妄想なのに、私は踊らされている。これから来るかもしれない、もうあったかもしれない君との時間を捨てている。

 だから早く来て欲しい。今この瞬間も焦がれている私に、君がどうか、気がついて。

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