【旧版】最後まで生きた君に、笑顔でさよならを

夜桜月乃

プロローグ

 私は久々にその屋上に足を運んでいた。


 私が通う学校はなぜか屋上が解放されており、夕方にはとても綺麗な夕焼けが見れる。

 この場所は、良くも悪くも私にとって思い出の場所だった。


 私は制服が汚れることも気にせずその場に座り込む。

 現在の時刻は午後五時過ぎ。校庭では運動部が練習に励んでおり、まだ門が閉まるまでには余裕がある。


 私は、あの日の夕方から約二か月間の出来事を思い返していた。


 彼と過ごした、長いようで短い時間を。


 辛くて、悲しくて、でも楽しくもあった時間を。


「優月君……また会いたいな」


 空を見上げると、あの日と同じように綺麗な茜色に染まっていた。


 気づけば、私の目からは涙が溢れていた。


 ――これが、私の初恋だった。

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