忍者と侍

大空 ヒロト

短編

 私はひな、忍者をやっている。忍者とは主の指示に従い隠密行動をするものである。今日も私は主の命に従い行動する。


「ひなー、次体育だよ。変なことぶつぶつ言ってないで早く行こ~」


「……」


 私はそんなことを言う忍者大好き中学生だった。でもそれを友達に言ったことはない。絶対になんか……笑われそうだし。


「まってー、今行くよー」


 それでも私にはそれを受け入れてくれている友達が1人いる。まぁその子もちょっと変わってるんだけど。


 放課後


 私は授業を終え部活にも入っていないからとりあえず技術室にむかった。なぜここかと言えばあの子がいるからだ。ガラガラガラ、ドアをあけるとやっぱりそこには彼女がいた。ナイフをつかって細い木を削ってる彼女が。


「またやってるの?さな」


「?あ、なんだひなか」


「何だって何よ、せっかく来てあげたのに」


「ごめんごめん、急に誰か来たからビックリしちゃって」


「またつくってんだね、木刀」


「まぁね。かっこいいし」


 よく分からない、何がかっこいいんだろ?絶対に忍者とか手裏剣とかのほうがかっこいいって。私は思ったが口にはださない。そう、さなは侍好き。特に刀に対する愛情が深い。


「でも別に自分で作らなくてもよくない?売ってんじゃん」


 ピカ!さなの目が光った気がした。


「何言ってんの!自分で作るからいいんじゃない!」


 物凄い勢いで迫ってきた。ちょっ刀、刀危ないって。ぎゃあ!反対にはナイフ!


「そ、そうなんだ。とりあえずもう帰らない?」


「そうだね、そろそろ帰るかぁ」


 私たちは帰るため荷物をまとめ学校をでた。さなは野球部がバットを持つかのように木刀をもっている。


「ねぇあそこ寄ってこうよ」


 そう言ってさなが指をさしたさきにあるのは公園だった。


「うん、いいよ」


 私はなぜ寄るのかわかったのですぐに承諾した。なぜここに寄ったのか、それは木刀を振るためだ。さなはここでよく振っている。今みたいに少し暗くなったころに。


「私はあっちの変にいるから」


「了解~」


 そう言って私は私で忍者の修行へ。まずは走って体力を、そしてトカゲに見つからぬようゆっくりと進み、手裏剣をもって木に投げる。シュッ!シュッ!シュッ!スカッ!スカッ!スカッ!

……気にしない。そしてまきびしをきれいにまく。


「これはキレイにできた」


 満足満足。ちなみに手裏剣もまきびしも私の自作である。鉄でつくった。さなの方を見るとまだ振っていた。そろそろ帰ろうと呼びに行こうとしたとき向こうから声が聞こえた。


「どろぼう~!だ、誰か捕まえてくれ~」


「どろぼう?」


 その泥棒を追いかけるような声はどんどんこちらに近づいてきていた。その時、バサッと茂みが音を立てたかと思うと人が飛び出してきた。どうやらさっき聞こえた泥棒らしい。


「とっ、とまって!」


 私はとっさに前に出た。


「どけっ!」


「きゃっ!」


 でも私は簡単に吹き飛ばされてしまった。だめ!逃がしちゃだめ!そっちへ行っちゃぁ……


「まきびしがあるから……」


「いってぇぇぇぇーーー」


 後ろで思ったとおりまきびしを踏み騒いでる泥棒がいた。でも驚くことに逃げるという心が痛みに勝ったのかまた走りだしていた。しかし少し進んだところで


 ばしん!


 さなちゃんの木刀が直撃した。泥棒はぴくっぴくっと震え倒れてしまった。対するさなはただ単に素振りをしていたのが当たっただけで何がおこったのか分からない様子で泥棒の心配をしていた。


 少したつと警察の人とかがやってきた。私とさなは特に何かやったわけではないのだがめちゃくちゃ褒められた。それは次の日学校に行ってからもおなじだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

忍者と侍 大空 ヒロト @p-t-t

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ