第6話 私だって馬鹿じゃない
目が覚めると私達の前には机があり食事が用意された。ヒジリと神様の姿はなくミナミだけいた。ミナミは割烹着を着ていてなんというか
着られている感があった。
「おはよーアリス。よく眠れたかな?ってそんなわけないよねー。顔洗ってご飯食べよっか。ご飯を食べなきゃ元気も出ないからね」
過去に時間移動しても何事もないような言い方をするミナミ。まぁ陰陽師とかいう仕事をしてると日常茶飯事なんだろうか。私は外に出て水道で顔を洗い少しばかり髪を濡らし寝癖を手鏡を見ながら整えた。戻ってミナミとご飯を食べる。
「いただきます。」箸の使い方や日本での食べ方はマスターして日本に来たので器用に白米や魚をほぐすことができた。
「上手だねー。聖より箸を扱えてるよー。」話題がないなら話さなければいいのに気を使ってるのか話しかけられた。ミナミならきっと私の話を誤魔化さず聞いてくれると思い聞いてみることにした。
「ありがとうミナミ。ねぇミナミ、私って霊力を扱えることができるの?」
「知りたい?」
「とっても」
「そっか。ご飯食べてからヒジリ達と相談させて。」
「分かった。じゃあ次、私も陰陽師となんか関係があるの?私だって馬鹿じゃない。ここまで色々巻き込まれたら流石に勘付く。」
ミナミの目はいつもの穏やかそうな目ではなく
険しい目になっていた。敵がそこにあるかのようにジーっと見た。数秒見つめた上でミナミは1言
「ご飯食べたら聞きたいことは外にいる聖から聞くといいよ。正解があるから」
それだけ言って食べ終えた食器を片した。
私も片して外にいるというヒジリを探した
社の付近にはその存在はなく、林の中にいるのか
探す範囲を広げようと1歩踏み出そうとした。
「雨の降る中その林にいくのはウヌは死にたいのか?それともただのアホというわけか」
後ろから声がした。
昨日の神様と名乗るものだった
「いえ。ヒジリを探そうとしただけです。あの昨日は宿とか温かい布団とかありがとうございました」
深く頭を下げるのが日本のやり方。それに習い私も下げる。郷には郷に従えだったかとにかくジャパニーズルールに則った。
「気にすんなと言っても気にすんのがお主ら人間だもんな。ところでウヌは誰を探しとるんか」
「ヒジリ。アシヤヒジリ」
なんだろこの人には逆らえない何かオーラを感じる。この人に聞かれたことは素直に答えなくてはという防衛本能が働いてるのかサッと言ってしまう。
「そんな構えることはない。自己紹介が遅れたな。私は蜂須賀雅姫(はちすかみやび)まぁこの神社に祀られてる神様ってとこかな」
「アリス。アリススカーレット。イギリス…西洋の異国から来た。ねぇ神様聞きたいことがあるの」
ミナミが答えないならここにいる神様に聞くことにしよう。ヒジリがいないし仕方ない。
「なんだい?」首を傾げながら私を見る
「聞きたいことは2つ。
1つ私って霊力を扱えることができるのか
2つ私も陰陽師となんか関係があるのか」
「トラブルに巻き込まれすぎるしとうとう人間ではないものも見えるしもしかしたらって思ったの。」
「ウヌも感が良いの。その感は大事にしてもらいたいわ。ヒジリは口下手だからのう。ワシから説明したほうが早いわ。蘆屋の事はどれだけ聞いた?」
「ムネノリとその子供の話までは」
「ふむ。陰陽師から説明したほうがよいかの。これなら。外は寒いからのう中に入ろう。」
ミヤビは神社の中の祭殿に案内してくれた。
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