僕達の専用通訳さん

@naitou0630

僕の専用通訳さん


僕達学校の生徒には一人一人に通訳がいる。

「おはようございます」

僕は小さな声で僕専用の通訳と教室に入って行く、何気ない普通の学校生活の1ページだ。

「おはよう!」

挨拶を返してくれたのは隣の席の後藤。

もちろんこの後藤にも専用の通訳がいる。

「なぁなんで俺らは普通に会話できるのに通訳が付いてるんだ?こいつらなんも話さねぇし」

突然の後藤の発言に呆気に取られて、

すぐに考えた。確かにそうだ、なぜ同じ言語を

話す人同士なのに二人には専用の通訳がいるのだろうか。

そもそも通訳は会話の間に入る人間だから

一人に対して一人がいる必要はない。

「確かにね。」

答えを出す訳でもない僕の発言に

後藤はムスッとした顔で通訳の人をツンツンしながら言った。「なぁおいなんか話せよ〜」

後藤がなにをしても通訳が話す事はなかった。

「なんだこいつすげぇ不気味。」

僕もだんだん怖くなってきた。

すぐに立ち上がると通訳も立ち上がり、

先生の元へ向かう僕の後ろを付いてきて、

歩く速度を上げても後ろに付いてくる。

息が上がりながら僕は先生に尋ねた。

「なんで僕達はみんな同じ言葉を使ってるのに

通訳が付くんですか?」

先生は僕とは目を合わさず言った。

「君たちに伝えるためだよ。」

先生の隣には通訳がいた。

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