好きと伝えられなかったあなたへ

@Saki2504

恋をしたあなたに

毎日を過ごしているとあなたのことを思い出します。心があなたを求めて、寂しさを感じて涙が出ます。

あぁ、好き。好きと伝えられなかった。あなたが居た日々を過ごしていたのに。

あぁ、会いたい。会いたいだけなのに、あなたの居場所を知らないから。


出逢いはいつかの夏の夜だった。一目惚れというものをその時に初めて知った。あなたが輝いているように見えた。

「やっと見つけた、この人は運命の人だ」

心の中でそう叫んでいた。

しかし、名前や住んでいる場所、好きな食べ物、あなたを包み込むすべてのものを知らなかった。何もあなたのことを知らないからこそ恋をした。あなたを知りたかった。


勝手に喜んで、勝手に寂しく感じて、勝手に苛々して。一人で始めた恋にいつしか振り回されるようになった。

もうあなたを好きになるのはやめよう。そう思ったとき、あなたが微笑む姿を目にしてしまった。幸せそうに微笑むあなたはこれ以上になく美しく、手放し難いものだと気づいた。


人間は勘が冴えている生き物なのだろうか。

冬の終わりが近づいた頃、もうあなたと会うのが最後になるような気がした。最後の夜だと私の勘が言っていた。

ただ遠くから見つめて何も言えないまま、その日を最後にあなたは何処かへ消えた。


最後に見たあなたは綺麗だった。花のように綺麗だった。忘れられないくらい綺麗だった。

そして春がやってきた。桜が咲いた、桜と共にあなたは散った。

恋は短く、儚く終わりを告げた。


春の夜風の匂いが鼻に届く。肌に触れる風の暖かさ。私を取り巻くあなたとの記憶を思い出す。

あなたに出逢った日もこんな風が吹いていたなと。ずっと胸に残る思い。また会いたい、伝えたい。今度こそは好きと言いたい。

涙が頬を伝って流れる。冷たい冷たい涙が頬の上で泳ぐ。


好きと伝えられなかったあなたへ

あなたに届くまで伝えたい。だってあなたに出逢ってしまったから、人生で一番好きだと思える人に出逢ってしまったから。

「好き」そう心が何度も叫ぶ。




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