あの音が響く先で 第一曲

秋葵猫丸

#00 プロローグ




 ――――何度も、繰り返し見る夢がある。





 澄み渡るほどの大きな空、緑豊かな木々たち、太陽の光に反射して光るなだらかな川。


 わたしは地面にしゃがみ込んで、白詰草シロツメクサを摘んでいた。


 白くて星のような花を両手いっぱいに摘んで、お母さんと、家にいるお父さんと弟にあげようって。


 ふと穏やかな風が吹いてきて、わたしを揺らした。 

 

 それとほぼ同時に、どこかからが聞こえてくる。


 綺麗で、柔らかくて。まるで、ぎゅっと抱きしめられているような、優しい音。


 気がつけば、わたしはを追いかけていた。


 追いかけて、追いかけて、どこまでも────














『じゃあおねえちゃんも、のんちゃんが大きくなるまでずっとここで、待ってる』








『約束だよ』

    










 わたしは、ひとりぼっちだと思ってた。




 ─────




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