第37話 2
そして、紙の世界。
「紙様ですか?」
「そうじゃ、わらわは紙様じゃ」
症状のような姿の紙様は、
「お前は生まれ変わる。お前の願いは、『どんなに生まれ変わっても、また、同じ場所にいて、隣にずっと側にいたい』だったの。それに対して、女は『今、この瞬間をずっとずっと、側にいたい。たとえ、この先の未来にあなたと側にいられなくなったとしても……』だ。
お主は永遠を、女は刹那を求めておる。
だから、女に会えたとしても、また初めからの再スタートだぞ。それでもいいかい?」
男は頷いた。
「俺はあいつのためなら、何度でも生まれ変わっても会いに行く。たとえ、あいつが別の人を好きになったとしても、あいつの側にいる。支える。
それが、あいつにできる恩返しでもあり、愛なんだと思う」
紙様は男の右目に何かしらの術を施しました。
「お前の右目には、『通過之眼』を授けた。
これは、前世と今世と来世までの自分の行動を思い出だすことができる。うまく使えば、おぬしの願いへの助けになろう」
紙様は、男の額を推すと、
「また、あってらっしゃい」
と、送り出しました。
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