第31話 8

 あいつへの奇妙なことが始まった。それはこの二人が犯人だ。

「伊田先輩、なんのよーですか?」

「伊田パイセン、私たちも日まではないんですよ」

 日香月双子姉妹。こいつらが犯人だ。

「お前たち、詩翔雪にもう罪滅ぼししなくても良いぞ。というか、あいつも不思議がっていたぞ」

「「なっ!!」」

 日香月零は問うた。

「なんで伊田先輩はそのことを知っているんですか?」

「エスパーだからだ」

「はあっー!?」

「冗談だ、俺はあいつに絡んだ茶髪チャラ男、その妹だちがお前たちだって知っているからだ」

「そ、そんなあんな馬鹿アホブラザーのこと、誰にも言っていないのに、なんで知っているの?」

 日香月明が狼狽した

 何でか? それは俺が一番知りたくなくて、だけど知ってしまっている、最大で最悪の能力のおかげだ。

 しかし、こいつらにつたえるのは時期尚早だ。

「俺がエスパーだからだ」

「「はぁっ!?」」

 姉妹両方とも俺に馬鹿にされたと思ったのだろう。めっちゃ腹から声が出ていた。

「またまた冗談だ。俺は部活部としてあらゆる部活の名簿の情報を集めている。その中に交友関係や親族についての資料を作っている。だから、お前たちがあの茶髪チャラ男と兄姉妹だってことは、知っているんだよ」

「ぐぬぬ」

「うぎぎ」

「俺はお前たちを買っているんだよ」

 そう伝えると、双子姉妹は、

「どういうこと?」

「なんの話?」

 と食いついてきた。

「お前たちはあいつへの罪滅ぼしとして、下駄箱に鼻を入れた。あの花は本物の花ではない。造花だ。造花なら朽ち果てることもない。また、上納金が入っていたとあいつは言っていたが、入っていたのはシェイク二本分のお金とじゃがいもをあげたヤツのお金とスカートのクリーニング代だ。あのとき、お前たちはMUCにいなかった。のにも関わらず、これを実行できたその情報収集能力。欲しい」

 俺は二人に手を差し伸べた。

「俺の部に来い」

 二人は目をパチパチとした。

「あの、部活部に入れってことですか?」

「それは、部活部に所属しろってことですか?」

「そうだ」

 俺は、まっすぐに二人を見た。

「お前たちの能力はあいつの側にいることでもっと輝く。だから、入部しろ」

 二人はお互いに顔を見て、

「「お願いします」」

 快諾したのだ。

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