願い事ひとつだけ

勝利だギューちゃん

第1話

「あなたの願い事はなあに」

「ぼくの?」

「ひとつだけ叶えてあげる」

「じゃあ・・・」

「願い事を増やすというのは、ルール違反だからね」

「おケチ」


それは分かってる。

おケチというのは、言ってみたかっただけ。

願いはひとつで十分だ。


「その顔を見ると、もう願いは決まっているんだね」

「もちろんだ。僕のたった一つの願い。それはもう決まっている」


今、僕の眼の前にいる女性は、魔法使いと自称している。

本当かどうか、わからない。

でも、もし本当なら、今のぼくのたったひとつの願い。


それは、たやすく叶えられるはずだ。


そして、その願い事を口にする。


「本当にそれでいいの?」

「もちろん。出来ない?」

「ううん。たやすいけど、私と出会えるなんて、もうないよ。

そんなことのために使っていいの?」


僕は頷いた。


「わかった。その願い叶えてあげる」

「ありがとう」


そして・・・


「あれ?ぼくはここで何をしていたんだろう?」

辺りは公園だ。

大勢の子供たちが遊んでいる。


みんな元気だ。


「じゃあ、〇〇くん、またね」

「うん。また明日」

僕も友達と別れた。


どうやら一緒に遊んでいたようだ。

何をして遊んでいたのだろう?


まあ、いい。


「〇〇、ご飯よ」

「はーい」


お母さんが迎えに来た。

お母さんと一緒に家まで帰る。


今日は土曜日。

全員集合がある。


弟はひょうきん族がいいというが、絶対に譲らないのだ。


『あの子がした願い。

それは昭和の時代で過ごす事。


便利な時代となった令和。

それと同時に、失ったものも大きいい。


彼は、永遠に昭和の時代。

1980年代をループして永久に過ごす。


それが彼の願い。


彼の両親も、友達も、一緒に昭和へと戻る。


日本が最も豊だった、昭和の後期へ』

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願い事ひとつだけ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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