第6話

 よく見てみれば、わかることっていうのはたくさんあった。

 

「ソニア」

 

 陛下は、いつも、ソニアに会いに来ていた。 

 

「ソニア、お茶が入りましたよ」

 

 ヒース様は、私たちに、お茶を誘ってくれるけど、声をかけるのはいつもソニア。

 ソニアが、私を誘っていた。

 

「考えてみれば、私と皆って、仕事の話以外したことない……」

 

 私からふったこともないし、ふられたこともなかった。

 だって、忙しかったし……そんな、人と話してる暇とか、ソニアに作られないとなかったし……

 私の中で、無念で空虚な気持ちがぐるぐる回る。

 別に、皆に愛されたかったわけじゃない。

 でも、皆が愛してるのは、ソニアなのだ。

 例えば、私とソニアが、聖女の力がなくなったとして。

 私は村に帰されるだろうけれど、ソニアの事はわからない。帰すにしても、私より、名残おしいだろう。

 

「……馬鹿馬鹿しい」

 

 別に、愛されたかったわけじゃない。

 愛されるだけの人間なんて、馬鹿馬鹿しい。そう思ってようようと村を飛び出したはずなのだ。

 私は、ずっとずっと、特別な人間になりたかったのだ。

 けれど、これって。

 なんだか、これって、特別なの?

 体のどこかに、孔が空いた気がした。そこからやる気がしゅるしゅると抜けていく。

 私はぼーっとベッドに寝転んでいた。貴重な睡眠時間なのに、眠気が来なかった。

 

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