第3話
ランドセルを背負った少女が、あなたを見下ろしていた。
「じゃあ、また明日ねえ」
少女は友達に大きく手を振って、分かれ道の右をいく。そうして、家までの道の途中にある公園の前へとさしかかった。小さな公園は、遊具もすくないせいか、いつも閑散としている。かつて、たくさん世話になった公園だが、最近はあまり寄らなくなった。寄らなくなると不思議とそれに対する思い入れは思い出となり、遠いものと変化した。
少女は、ランドセルの肩紐を両手にそれぞれ持ち、小走りに、通り過ぎた。その時、子供の姿が、目に入ったが、特に気にすることもなく、視界を前へと戻して、家路へと駆けていった。
「あのとき、わたしはなんにも知らない。何も見てない。子供がいるなあって思った。それだけ」
少女は、首を振って答えた。意識のないあなたをじっと見下ろしていた。しかし、浅い休息にいるあなたは、どこかその気配を感じていた。
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