第11話
母が息を引き取って、お葬式を済ませてひと段落ついた頃、ふとあの日記が目に止まったので、ページをめくってみた。日記に変わったところはなかったが、最後のページは違っていた。見覚えのある字で書かれている。母の字であった。
四月六日 晴 木曜日
今日は、
今日は、とてもいい夢をみました。翠が、とても美味しそうなお料理を、私と、健一郎さんに作ってくれる夢です。茶碗蒸しに人参のかき揚げ、あさりのお味噌汁に鮭の塩焼き。私たちは、たわいもない話をしながら、満開に咲いた
目が覚めると、
翠、もう、謝ることはしません。最後に、言いたいことがあります。
――元気に生きて
ただ、これだけのことです。貴方は、「私にはお母様しかいない」と言ってくれましたね。とても嬉しかったです。でも、そんなことはありません。他にも、人間は沢山いるのです。貴方が
愛していますよ、翠。私は
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