ノスタルジア あなたの記憶見つけます。

@sion566

第1話 雑貨ノスタルジア

 私の通う高校の最寄り駅から、少し歩いた場所にアンティークや昔使われていた道具、アクセサリーを売ってる雑貨屋さんがある。


 入学したときから、気にはなっていたけど人気もなく、なんとなく入りにくくて、いつも近くを通ってもスルーしていた。

ただ最近、ここのお店では、

忘れてしまった記憶を思い出させてくれる

といった噂がクラスの間で流行っている。


 突拍子のない噂だったけど、隣のクラスの子のおばあちゃんが、

物忘れが激しく大切な結婚指輪をしまった場所を忘れてしまったが、このお店に行ったら思い出した、なんて話もあった。


 非現実的ではあるけど、お店自体にも興味もあったし、そんな不思議な話でも本当だったらいいななんて思いなが暇潰しもかねて見に行く子とにした。


 実際に、お店の前に来るといつも通り人気はない。少し緊張しながら、扉に手を掛け引いてみる。

重みのある木製の扉がすんなりと開き、チリンチリンと店内にベルが鳴り響く。

店内は昔の喫茶店のような雰囲気で薄暗く、古い建物のような不思議な匂いがする。

ホコリっぽさはなく、売り物であろう家具や雑貨が整頓され置かれていた。 

奥には商談ようであろうソファーとテーブルが置かれている。


「いらっしゃいませ。」


店内を見渡していると、奥から大学生位の男性がエプロンを巻きながら出てきた。

顔は中世的で、スラッとしたモデルのような体型。

女性からはモテるんだろうなーなんて思いながら軽く会釈する。


 店内を物色しながら、

(この人にあの噂聞こうか、いやもしかしたらバイとなの人かもしれない。変な人だと思われても嫌だな・・・)

そう思いながら悩んでいると、


「何かお探しかな?」

後ろから声をかけられドキッとしながら振り返る。

気がつくとレジの横にいたお兄さんが後ろに立っていた。


「いや、あの・・・探し物というか、噂を 

 聞いて来たんです。」

キョドりながら慌てて答えて、しまったと思いうつむく。


(急にこんなこと言い出したら絶対変なやつだと思われる。もうやだ・・・帰ろうかな・・・)


「ああ、何か思いだしたいことがあるのか

 な?」


びっくりして顔をあげる。

あの噂本当なの!?


「いえ、思いだしたいことがあるわけじゃ

 なくて、噂が本当なのかと気になったん

 です・・・」


お兄さんは、困った顔をしながら

「うーん・・・あれは結構尾ひれついてる

 からな~。たまたまここに来て思い出す

 人が多いってだけなんだよね・・

 ごめんね、期待してるようなことじゃ

 なくて。」


まあ、そうだよね・・・普通に考えれば、噂なんてそんなものだ。

だが、気になっていたお店を見れただけでも来た価値はあるのだろう。


「こちらこそ急に変なこと聞いてしまって

 すみません。失礼します。」


「また来てね~今度は何か買いに来てくれると嬉しいかな。」

少しがっかりしながら、そのままお店をあとにした。



 



































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