1-14. 「どーする? アンタもいくか?」
「俺、ただのヒキコモリデブじゃなかった。
ヒキコモリ柔道デブだった」
「……ほほう?」
俺の報告に、レイフが本を読む手を止めて顔を上げる。
むう。ちょっと反応が薄い。
アランディ隊長のブートキャンプは昼飯前には終わり、各々体を拭いたり汗を流したりして解散となる。
俺はというとアランディ隊長にかなり厳しく「ちゃんと汗を流せよ! 特に脇!」と厳命され、ざっとではあるが浴場で湯を浴びた。
湯上がり卵肌のうるつやオークであります。
季節は今秋口らしく、水で流すのではやや薄ら寒い。
それで、朝と同じくテラスへと行き、そこでのんびり読書をしていたレイフに報告。
そのまま、食事を貰う。
記憶、自分なりの分析、アランディ隊長等の意見等々からの、俺の戦闘能力分析を伝えてみるが、正直「よく分からん」というのが結論になってる。
オーク戦士としての腕力はある。身体も頑強っぽい。
けどスタミナは不足気味。あとやっぱ、動きは鈍い。
体格がオーク戦士としては小さすぎるので、「とにかくガンガン突っ込んで攻める」のにはあまり向いてないことから、それなりに技巧や駆け引きを凝らした棍棒術の戦い方をするっぽいが、技巧という点ではダークエルフ戦士の平均以下、らしい。
つまるとこ、「追放者ガンボン」の戦闘能力は、「オーク戦士としてはちょっと変わった戦い方をするが、凡庸」というのが、アランディ隊長による評価。
ぐむむ。
ぐむむ、である。
未知数なのは「向こうの世界の俺」が身につけていた柔道技、ということになるが、武器を使うのが前提のこの世界で、果たして競技柔道の技をどこまで活かせるのか、てのはまー、我ながら疑問ではある。
身体、骨格的には……腕力があり、体重も重く重心が低い(短足とも言う)こと。
そして何気に腕が長く手も大きいというこのバランスは、改めて考えるとかなり柔道向きだ。
ぶっちゃけ、「柔道を極めるために生まれてきた身体!」とも言える。
んが……この世界には柔道という競技は無く、国体もオリンピックも無い! 多分!
戦場格闘技だとか古武術とかだったら、もうちょっと異世界での応用のしやすさは違ったのかもしれんけども。
それに……魔法だ。
アランディ隊長への一本背負いからの袈裟固め、は、隊長による【閃光】の魔法で返された。
あれは光属性の初歩的な簡易魔法なのだそうだが、本来ほんの数瞬だけ周囲を照らすもの。しかし直接目の前にぶつけられれば、目潰しにもなる。
武器相手、ならば、まだ対処方も工夫次第という気がする。
そもそもの柔道の源流は戦場での組み討ち技なわけで、そこを辿って行けば良い……のかな?
教えて! 公園最強の柔術家おじさん!!
しかし、魔法なァ~~……。
俺の知識では、この世界にどんな魔法があるかすらあまり分からないのだから、今のままでは工夫のしようもない。
と、は、い、え……だ。
そんなのは全然先の話で、今重要なのはそこじゃない。
俺が、この闇の森で生きていけるか。この世界でやっていけるのか。それだけの能力戦力があるのか。
今のところ、この郷に「匿われて」いる状態だが、いずれ選択しなきゃならない。
ずっとここで世話になるのか? 外に出て、自分なりの生活を始めるのか?
闇の森は呪いにより外部からは守られている。けど、闇の森の中自体にも危険がある。
闇の森の魔獣に対処出来るだけの能力がなければ、ひとりで郷を出るのもままならない。
「まあ勿論、他郷と取引するときの一行と一緒に移動する、という手もあるけどもね」
とは言うが、闇の森自体は、外周部をどの程度の範囲までと見積もるのかにもよるものの、大まかに言って関東一円がすっぽりと入るくらいには広いらしい。
一番近い郷と郷の間の移動でも、ダークエルフの隠れ路、という比較的安全かつ移動しやすいルートを行けて、半日から1日かかる。
そこから外周部を横断して森の外に出るのなら、さらにかかる。
その上でまたさらに、他の人間等の住む村や集落へ行くのなら……。
がっつりとした『長旅』になる。
うーむ。
この世界で生きていくのは、結構大変である。いや、他人ごとじゃないから、うん。
ここまで。
この世界で蘇生して数日。
ぶっちゃけずーっと周りの状況に流されている。
そもそもどちらの人生(オーク生)に関しても記憶が曖昧で、なおかつ危険な状況も最初だけ。
未来の目的もなく、基盤と出来る過去もない。
寄る辺もなければ縁もない。
その上その状況に対して、妙に俺は馴染んでしまっている気がする。
うーんむ。性格なのかしらね?
この世界での確固たる立場、役割があるなら、それに準じて何をすれば良いかも分かる。
貴族として転生したなら貴族として領地を治めるなりしなきゃならないし、勇者英雄として召喚されたなら、魔王を倒すとか姫様を救出するだとかいう目標に向かえば良い。
成り上がって強くなってハーレムを作るぞー、とか、欲望まみれに男は殺せー女は犯せー、世界征服だ目指せハイスコアだとヒャッハーするのでも、まあ方向性、行動指針は作れる。
冒険者ギルドとか学園とかってのも分かりやすい。クエストだの課題だのをお膳立てしてくれるわけだしね。
しかしどうも、異世界転生という非常事態になってるにも関わらず、「成り上がってやるぞー!」的野心もさして湧かないし、「どうやって生きていけば良いんだー!?」的切迫感もさほどないのが現状。
んー。仮に「ゲーム的なファンタジー世界に転生したぞ!」のノリで解釈するなら……アレだな。
海外の箱庭系ゲーム、かな?
最初に導入イベントはあるけど、その後は「舞台は整えたのでご自由に」みたいな感じ。
手取り足取りお膳立てしてくれる日本的RPGとは真逆なヤツですよ、ええ。
勿論、レイフに諸々教えてもらい、面倒みて貰っているから切迫感が薄い、というのはあるだろうし、記憶が曖昧なのも理由の一つ。
状況的にドラマチックなこと……親しい人が殺される、とか、裏切りや虐待に遭う、とか……が起きてない、てのもまああるし。
こんなゆるんゆるんな感じで良いのだろーか、という気もしてはいる。
とは言えじゃあ何か積極的に出来ることはあるのだろーか、というとそれもない。
記憶を出来るだけ思い出すこと。
自分に出来ること、出来ないことを確認すること。
レイフ等から、この世界についての知識を得ること。
その上で、やりたいことやら目指す生き方でも見つかれば良いのではないかしらん、と。
結局それしかないのだよね。
◆ ◆ ◆
「所謂ゲームとかにある『冒険者ギルド』とか『冒険者学校』みたいなのは無いよ」
「無いの?」
「うん、無い」
毎日食後は、レイフによるレクチャータイム。
異世界転生者の先達としての「この世界についての知識」を色々教えて貰っている。
「戦士団、とかはある」
「どう、違う?」
戦士団、というのは、イメージとしては冒険者ギルドと傭兵団の中間みたいなもの、らしい。
よくゲームやラノベにある冒険者ギルドとかは、登録して、多くの依頼からランクに合わせた依頼を受けて、それを完了することで報酬を貰う……、というものだけども、この世界ではそこまで「冒険者」という存在が明確に社会システムには組み込まれて居ない、のだとか。
「各都市にギルドの支部があって、登録していればそれだけである種の身分証明になる……みたいな、そーゆー便利なのは無いね」
むう。不便だなあ。
「本来戦争の際に金で戦働きを請け負うのが傭兵団で、そういう集団の中でもっと細かい仕事を請ける連中も出てくる。
そういう中で、戦働き以外を中心に受けるようになったのが、所謂戦士団とかの寄り合い。
まあ結局は『戦士ギルド』という感じではあるのかな?
例えばある村の近くに危険なゴブリンの群れや凶暴な魔獣、盗賊などが住み着いて被害が出てる……、なんてときは、傭兵団より戦士団の出番。
元々が自警団的な集まりから発展したものが基本だけど、山賊まがいだったり、よそからの流れ者の集まりだったり、てのも多い。
依頼する側からすると、土地土地に根ざしている奴ら以外では、信頼できるかどうかの見極めが難しい。
中にはマッチポンプで、盗賊として暫く周辺を荒らした後に、正体を隠して『俺たちが守ってやるぜ』とふっかけてくる、なんてのも居るし、そのまま村に居座って賭場やら女衒やら始めて、挙げ句村人たちが従わなくなり搾り取れなくなると男を皆殺しにして、女子供を奴隷として売り飛ばして余所へ行く、みたいな話もある」
うへえ、なんつー世紀末無法地帯。頭の中には『モヒカン兵士』的な連中がヒャハハハ言いながら村人に暴行を繰り広げる地獄絵図が浮かぶ。
「んなので、名の聞こえるその手の集団でそれなりの信頼度があるのは限られていて、例えば戦団なら『疾風戦団』、『砂漠の咆哮』、『竜兵団』、『熊髭戦士団』とかかな。
戦士団とはやや違う特殊な組織には、『黎明の使徒』とか、『黒鶴嘴ドワーフ団』とか……実在も怪しいので『闇の手』なんてのもある」
幾つか、引っかかりのある名前も出てきていたりもするが、もやもやとするだけできっちりとは思い出せない。
「あとは……魔術師ギルドはあるんだけどもね……」
「そっちはあるの?」
「揉め事トラブルの解決、ってのは主目的ではないのよね。
旧大学連を中心とした、各地の魔術師集団による、研究や相互扶助目的のギルド。
特に、『血の髑髏事件』以降からは、魔術師同士の社交や情報交換を重視し、はぐれ魔術師等によって引き起こされる事件を未然に防ぐことも含まれている。
まあ、ギルドに入れば、上位の魔術師が幾許かの報酬で若手の魔術師を助手にしたり実験材料集めの使い走りにしたり、てのもあるらしいから、そのあたりはゲームとかの冒険者ギルドの依頼システムに似てるかな」
「……色々面倒くさそうだなあ」
「ま、リアルに考えてくと複雑でややこしくて面倒くさいものになるから、ゲームとかでは『冒険者ギルド』というシステムでひとまとめにしてるんだろうね」
夢のない話である。
そうぼやくと、
「いや、実際よくある『ゲーム的な冒険者ギルドシステム』だって、『血脇肉踊る冒険の旅』というより、『登録制短期バイト』みたいなもんじゃん? しかも依頼内容なんて殆どがお使いかモノ探しだし。
それに『“冒険”者』なのに、『ギルドで身分保障してもらう』ってのも、なんか『フリーランスだけど正社員並の社会身分保証が欲しいです』とか、『投資で一山当てたいけど、元本保証は欲しいです』みたいだよね。
……あ、でもアレか。『作家協会』とか『俳優協会』とか……『バイト労働者ユニオン』みたいな互助会組織と捉えるとアリなのかな?
ま、ギルドってそもそも本質的に互助会だし、それもそうか───」
話しながら、自分の考えに没頭し始めぶつくさ独り言になっていくレイフ。
……しかし、ますます夢のない話である……。
世知辛いなー。
んで。
これは、「どうやらガンボンである俺は、何かしらの傭兵団か何かに属していたっぽい」という記憶についての話からの流れ。
その辺りがハッキリ分かれば、以前ガヤンさんに見せられたら「ガンボンとしての最期の記憶」と、それ以前の経緯等々について、よりハッキリと分かるかもしれない……、と。
「あとは普通に、特にそういう大きな組織には属していない“流れ者”としての小規模な集団……て可能性かなあ。
君は
アランディ隊長との対戦結果からすると、その線はかなり濃厚にも思える。
実力はさほどでもないからちょっと低く見られているが、荒事依頼を請ける上でハッタリを効かせるのには重宝する……みたいなポジション。
何か超アリエール感じするわー。すげーするわー。
◆ ◆ ◆
そんなこんなで、朝にはアランディ隊長のブートキャンプ。
昼飯の後は疲れて昼寝したり、建物の補修や家畜や菜園の世話を手伝ったり、レイフの予定が無いときは駄話がてらにこの世界についてのレクチャーを受けて知識を得たりしつつ、夜は温泉に入って就寝する、というような、なんつーか異世界まったりスローライフな日々を送る。
その中で分かってきたことも幾つかあって、その一つは俺が実はトライリンガルだということ。
バイリンガルじゃなくて、ね。
俺、即ち「追放者のオーク、ガンボン」さんは、オーク語、エルフ語、ティフツデイル公用語の三つが使える。
ただ、熟練度は後ろになるほど低く、オーク語は普通に使えて、オーク語と近いエルフ語はまあまあ。
帝国人の公用語であるティフツデイル語に関してはまあかなりカタコト。
「オレ、オマエ、マルカジリ」くらいの感じ?
文字もそこそこ読めたりするので、「根無し草のオークの流れ者」としてはかなり博学なんじゃないか? と言われる。
……いやまあ、下手すると「向こうの世界の俺」より博学かもしれん。
ここに来てダークエルフ達と話していたのはエルフ語で、独り言とかのときやレイフと二人きりのときとき口にしていたのは日本語。それぞれ無意識に使い分けていたようだ。
それを含めたら4種類の言語を扱えるな!
オークとエルフは元々同じ種族、ということから、両者の言葉には共通点が多いので、レイフ他ダークエルフ達にもある程度はオーク語も通じるらしい。
計算とかは得意じゃなく、そこそこ料理が出来る。
ゲテモノ食いが出来て、変なモノを食べてもあまり腹を壊さない。たいていの食い物を旨い旨いと食えてる。
あと、無骨で大きな手をしてる割には手先仕事も出来て、ちょっとした鍛冶、大工、工芸仕事も出来る。
生活力という点ではなかなか有能じゃない?
そんで、腕相撲をさせれば、アランディ隊長含めダークエルフ達の殆どに勝てる。
ナナイには負けたけど、「魔装具で腕力強化するのは反則」とレイフに怒られていた。セコい、氏族長セコい。そんなに負けたく無かったんか!
柔道のことは……結構思い出してきている。
どうも向こうの世界の「ヒキコモリ柔道デブ」の俺は、ちっちゃな頃から柔道をしていたようで、かなりの熟練者だったようだ。
エヴリンドやアランディ隊長他訓練生のダークエルフ達とも何度か格闘術の試合をしてみたが、こちらの練習用ルールは打撃アリのレスリング、つまり総合スタイルみたいな感じ。
意外と向こうの世界の柔道記憶は役に立っていたし、通用する。
ただ、魔法への対処はまだ分からない。
最初のときに使われた【閃光】の魔法は初歩の簡易魔法なので、魔法の得意なダークエルフ達の半数は使える。
簡易魔法というのは先人たちの研究の末、単純だがもの凄く簡単に使えるように術式が簡略化されている魔法。
これのメリットは、覚えるのが比較的楽で、発動までの時間や魔力の消耗が少ないこと。
逆にデメリットは、効果が限定的で威力もそれなりになるところ。とは言えそこは、使い方次第。
【閃光】なんてその典型で、効果それ自体は「ほんの数秒だけ、手から強い閃光を発する」てーだけ。
でもアランディ隊長みたいに接近戦中に良いタイミングで目くらましとして使えば効果抜群だ。
で、実は魔法をあまり使わないとされるオークの俺だが、幾つかの簡易魔法を使えるらしいことも分かった。
その一つは【発火】。火属性の簡易魔法で、効果は……ライターくらいなもの。ふつうの戦闘では全く使い道はない。
そう言えば、と思い出すのはガヤンによって見せられた「ガンボンの死ぬ直前の記憶」。
その中で、食事の支度として火を起こすときに、実は使っていたのだ。
他に使えるのが【自己回復】の魔法。
これ、使っている間自分への自然治癒効果を発揮する……のだけど、これがなかなかままならない。
というのもまずはこの世界の所謂「回復魔法」というのは、ゲームとかでイメージしているものに比べると万能ではないのだ。
それはレイフ自身、「一度死んだ」という高所からの落下によるダメージの後遺症が未だに残っていることからも分かる。
表面的な傷や、消耗した体力ならば、【自己回復】などの簡易魔法でも対処出来る。
打ち身、打撲等の内部への損傷も、中級程度の魔法で治癒できる。
しかし骨折あたりからは時間も魔力もかかる上、使える者も多くはない。
まして切断された手足を接合、再生する、とかになれば最早「奇跡」のレベル。
なので、大きな損傷に対しては魔法だけでなく外科的手術や薬の使用等と併用して対処するのが普通で、しかもそれも早期に対応できなければどーにもならない。
例えば、手や指など体の一部が切断されたりした場合、まず外科的に縫い合わせて、体力回復や痛み止めの薬を併用し、癒着を促すように回復魔法をかけ続ける。
それで、「運が良ければ」数週間か数ヶ月後には元通り。悪ければ、くっつきはするけど後遺症が残り不自由な動きになるか、もっと運が悪いと癒着せず腐ってしまうか。
言い換えると、回復魔法込みでも治癒の成功率は、肉体の損傷度により変わる、ということらしい。
同じ様な「死にかけ」でも、「一撃で急所を突かれた」とか、「毒や肉体への損傷の少ない魔法などで体力を消耗させられた」場合と、「全身をズタズタに引き裂かれた」場合では、全然違ってくるのだ。
◆ ◆ ◆
この世界には、「魔力」がある。
魔力は人やエルフにオーク、その他の生き物の内側にもあるし、世界の様々なところにもある。
それらを操り、変化させ、目的に合わせて現象を起こす。
それが、「魔法」。
魔法は、人の手では行えない事を行ったり、或いは手間暇工夫や何らかの道具で行うことを、それらを使わずに実現させたり出来る。
そのためには、「魔力を操る術」を知り、「呪文」を覚え、「術式を構築」し、或いは補助の為の「触媒」をも必要とする。
それらを覚え、手に入れ、作り出すのには相応の努力と才能と資金が必要であり、そういったものを兼ね備えた一部の者が、「魔術師」と呼ばれる高度かつ複雑な魔術を使いこなせる存在になれる。
んー。なんというか、ある意味エリートしかなれないモノなのね。
まあ勿論それら条件を満たす上で必要になるモノは環境その他で変わる。
例えばエルフ、ダークエルフなんかは、「才能」の段階で下駄を履いているのだという。
エルフは人間と違い、「生まれつきある程度の魔法属性を持っている」から。
で、それがダークエルフの場合は「闇属性の魔力」なのだそうな。
人間はエルフと異なり、魔法属性を生まれつき持っている者が少ない。ほとんどは全く魔法属性を持たずに生まれる。
だから魔法を使えるようになるまでの努力が、より多く必要になる。
オークもダークエルフ同様闇属性の魔力をある程度持っているが、その他の条件が魔法の習熟にはあまり向いておらず、生まれつき持っている闇属性の魔力の多くは、身体能力の向上及び闇属性魔法への耐性強化になる。それが「呪いへの耐性」。
レイフは、俺……つまり、死ぬより以前の「
……うん、思い出せない!
魔法について学んでいけば、自分で使えるようにまでならないとしても、対処方法を考える上では役に立つ。
何にせよ「向こうの世界」では存在していなかった(または、していてもその存在が隠されていた)ものなので、知らないままでいるよりかは知っている方が良いのは間違いない。
レイフはと言うと、実は結構魔法が使える。
というかタイプとしては間違いなく肉弾戦タイプではないし、親戚、というか叔母にあたるのが郷随一の呪術師であるガヤンさんだし、闇の主とかいうチョーすげー魔法使いのところに勉強しに行っていたというくらいだし、そりゃ使えて当然、なんだろうけど。
けどそれは、「一度死んで、蘇る前」のはなし。
でも蘇った後にも色々ありつつ使えるようになったのだと言うから、お得だよねー。
む、俺も一応そうか。レベルが違うけど。
ま、そんなわけでとりあえず。
毎日出来る限りアランディ隊長のブートキャンプに参加し、レイフから諸々お勉強をして、出来る範囲でダークエルフ郷の日常業務のお手伝いなどをして過ごしているワケだ、が……。
「どーする? アンタもいくか?」
てなことを聞かれたのは、だいたいここに来て二週間ほど経ってから、だ。
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