5月

Column1 「すごすご」の話

 今回は、「すごすご」という言葉について取り上げようと思います。


     ☆


 先日、ある作品で「あいつはきっと、すごすごと現れるはずだ」というような文章を見つけました。


 作品の中で「すごすご」がどのような意味で使われているのか、前後の文脈を読んでも残念ながらよく分からなかったのですが、この場面には合わないことだけは分かります。


「すごすご」というのは、「気落ちして、元気なくその場を立ち去るさま」(『明鏡国語辞典 第三版』より引用)という意味です。「立ち去るさま」という言葉があることからも分かるように、「現れる」というのが後ろに来るのは不自然ということですね。


「すごすご」に含まれる「気落ちする」という意味から、もしかすると作品の中では「元気がなく現れる」というふうに使っているつもりだったのかもしれません。


 ただ「すごすご」という言葉を使うときは、「すごすごと帰る」とか、「すごすごと引き返す」と、後ろに「戻る」や「逃げる」などの言葉が来るときに使うのがいいのではないかなと、辞書の語釈を見る限り思います。

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