記憶を一時的に無くした俺には彼女がいるみたいです。

アイテム

第1話 記憶がないみたいです。

朝一

 学校へ行く朝、おれは車に撥ねられたらしい。


 後頭部を強く強打し、重傷として病院に運ばれた。それから何週間後に俺は目が覚めた。


 目の前には泣いている女性、40ぐらいだろうか?その場で立ってハンカチを持ち涙を拭いていた。


 誰なのかはわからない。


それに、自分の名前すらわからなかった。


不思議なもんだ、知識はあるのに何もわからないんだから。


後で聞いてみたら俺の名前は安良城やすらぎかいらしい、医者は重激で一時的に記憶が曖昧なだけだという。


さっきの女性は俺の母だと後で知った。


母の名前は安良城やすらぎ千冬と言うらしい。


「大丈夫なの?」


「今のところは大丈夫だよ」


俺は母親を傷をつけないようにわざと敬語と言わなかった。


「無理せずリハビリしなさいよ。」



その時、母親と話しいる最中ノックがなった。


母親はお見合いに誰かが来たんだろうと思った。

 

母親がどうぞと言った時、女性の声がした。


「失礼します。」


 そこにいたのは綺麗な女性の方だった。

金髪に染めた髪に白いワンピースを着た19歳ぐらいだろうか?


「あら、七夕ちゃん」


「いらっしゃい、いつもごめんね」


 「いつも?」


「あなたが、目が覚めない時からずっとお見舞いしてくれたのよ」


「目覚めたら記憶がないって聞いたのですが、やっぱり私の事わからないよね?……」


「すみません、今はわからないです。」


「私の名前は七夕 星です。あなたの彼女でした。」


彼女!?


俺にこんな綺麗な彼女が居たのか?…


「お母さん、これ果物です。」


彼女は、自分の手に持っていたお見舞いの袋を母親に渡した。


「あら、ありがとう」


「朝に目覚めたばかりですし、今日はこれで帰ります。」


「あら、申し訳ないわ」


「まだ、退院しないからまた来なさい。」


「はい!ではこれで失礼しました。」


「ねぇ、かい」


「なんだよ…」

 

あ母さんはニヤけていた。


「なんで、あんな彼女教えてくれなかったのかしらね。」


「知らないよ…」


母親との会話がめんどくさくて携帯を見た。


事故に遭った時、携帯は無事だったらしい。


ロック画面には知らないが学校で制服を着た自分と多分友達だと思う人と腕を組みながらの写真だった。


「これって誰なの?分かる?お母さん」


「あら、その子は幼馴染の江泉えずみ 優くんじゃない」


「優?」


 「私から見ても小さい頃から暴れん坊でね。

友達は少ない方だったと思う。それでも二人は仲が良くてね。いつも助けてもらってたんだよ。」


「そうなんだ……」


 そんな2日後、ドアの向こう側の廊下が騒がしかった。


「ここは病院です。走らないでください!」


 看護師の声が聞こえてくる。


 そんな走ってる音がこちらへと大きくなる。


「なんだなんだ…」


 ドアを壊す勢いおいで俺の名前を呼んで入ってきた。


「かい!大丈夫かお前!」


 そこにいたのは、ロック画面に写ってた幼馴染の優だった。


「記憶がないとは聞いたが…」


「すみません、幼馴染ということはわかるのですがそれ以外がわからないんです。」


「まぁ〜いい 今だけ記憶がないって聞いたし」


「遅くなってすまないな。」


「お前が目を覚さないって聞いて怖くて旅にでていたんだ」


 いや、何週間覚めなかっただけで、旅に出てたのか。


いや、何週間って長い方なのか……?


だけど、いい奴ってのは分かった。


そこから車椅子に乗り外で話す事になった。


「え!? お前に彼女がいたのか?」


「いや、君は知らないの?」


「いや、知らない。いつも一緒にはいたが……」


「そうなんだ……」


「あと、その君ってのがやだな」


「俺からしたらずっと優って言われていたから気持ち悪く感じちゃうぜ……」


「あ、ごめん」


「じゃあ、優 俺はどういう人だったんだ?」


「あぁー、カイはいい奴だった。クラスでよ、お前がいい奴なのはみんな知ってた。だからそこら辺の奴らは、お前をら道具として扱ってたんだ。掃除やプリントの回収などをいつもやらされていたな。」


なんだろう…… そんなことがあった気がする。


「カイくんこれ先生のところにやってくんない?」


「カイ、今日バイトあるから掃除やってくんないかな?」


俺はいつも心のどこかはやりたくないって言ってんのに俺はうんしか言えなかった。


だけどいつも「おい、それお前の仕事だろ、自分でしろよ」


「うゎ…… ヤンキーの優やん」


「行こうぜ……」


「ごめん、優」


「いいよ、お前は優しい心を持ってんだから、汚れるのは俺だけで十分だ」


俺のせいでいつも優は、嫌われていた。


そして俺は優と出会った日から記憶をなくした日の優との記憶を戻すことができた。



「君が心から思ってる人なんだね。だから君の友達の記憶は戻ったんだと思うよ。」


俺と母は、医者に伝えた。


 「あと、もう少しで記憶は完全に戻ると思うよ。君の場合はその人と話したりその場所を見ることに記憶が戻るのだろう」


「よかったね。カイ」


「あぁ……」


 俺は考えてた。親友の優のことで記憶は少し戻ったが、かなり一瞬だもんだな…


それに、彼女の前では記憶は戻らなかった。


「まぁ…… 顔を合わせただけだしな。」


「どうしたの?カイ」


「いや、なんでもないよ」


その日から2ヶ月後、俺はこんなにも早く退院することができた。


荷物を母親に持ってもらい病院から外へ出た。


病院の外に出るとそこにはカイといた。


「退院おめでとうカイ!」


「まさかこんなにも早いとはさすが俺の相棒だぜ。」


「お、おう…」


「さて、家に帰りましょう。今日はご馳走だよ」


「よっしゃー、おばさんのご馳走だー」


「いや、なんでお前も食べる前提なんだよ」


「いや、マジで美味しいんだぜ。」


 「あの…… すみません」


隣から声がしたと思ったら、俺の彼女らしい人だった。


「うん?誰だその美少女は?」


「前に言ってた俺の彼女らしい人だ」


「はぁ! お前にそんな可愛い彼女いたのかよ。」


「カイくんからよく聞いています、優さんですよね。」


「おう、俺のことを知っているってことは完全に彼女だな。」


「そうみたいだな。」


「お見舞いに行こっかなって思ったら今日、退院だったんですね。」


「そうなのよ、わざわざごめんね。」


「そうだ、今日うちに来ない?」


「おい、何言ってんだ。」


「いいんですが、お母さんともお話がしたかったんで嬉しいです。」


「あら、それじゃみんな車に乗って」


「はーい」


 だからなんでお前もくる前提なんだよ。

 

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