第38話 変わったから。

 文化祭はあっという間に終わり、いつもの日常に戻ってきた。


「今日は、席替えをしまーす!」


 快凪がみんなの前に立って、そう言った。


 みんなはざわざわし始めた。


「順番にくじ引けよ~」


 快凪がそう言いながら、端の席の人に箱を置いた。


ーー


 くじをみんな引き終わって、席を告げられた。


 俺の席は、あっ、あそこか。


 一番前の窓側。


 海里はどこだろ?


 海里を探すと、二つ後ろの席に海里がいた。


 前より近くなったな。


 海里の隣は伯斗だ。


 あいつは俺のを狙わないだろう。


 たぶん、大丈夫。


 快凪は、、あそこか。


 一番後ろの廊下側。


 俺の正反対。


 また、流架の隣なのかよ。


 快凪と流架がイチャついてるやん。


 んで、快凪の前に朔。


 うっわ、あそこら辺の席、ドロドロしすぎじゃね?


 近づきたくねー。


ーー


 授業が終わり、やっと昼休みになった。


「ねぇ、雷斗。ちょっといい?」


──俺の平穏な日々を壊す、最初の言葉。


──その流架の声が俺の頭に響いた。


「どうしたん?」


「話したいことあってさ。昼休みだけ、ちょっと話せない?海里は快凪と文化祭後の会議があるみたいだし」


 まあ、海里がいないなら、いいか。


「あー、ならいいけど。何さ?」


「俺の家何だけどさ。今、めんどくさくて、どっかの家空いてないかなって。海里に頼もうと思ったけど、雷斗がめんどくさくなったら嫌だしさ」


 なるほどな。


 海里の家に泊まってほしくないけどさ。


 俺の家にもこいつは泊めたくない。


 まず海里に誤解されたら嫌だし、こいつの寝相はめっちゃ悪い。


 流架の家はいろいろとめんどくさいのは知っているけどさ。


 金持ちで、いろんな会社とかを敵に回してるって、前に言っていた気もする。


「あー、快凪に頼めば? お前ら仲いいし」


 俺がそう言うと流架は顔を曇らせた。


「それは、、もう聞いた。ダメだって」


「あー、そうなん? なら、海里に取り敢えず聞いてみろよ。俺の家は無理だし。海里に一切手を出さないならいいけど?」


 俺は流架に言う。


 俺の家はまず、流架が泊まれるスペースがない。


「ありがと。海里に聞いてみるわ。手を出すわけないから、ご安心を」


 流架は俺をからかいながら、離れていった。


「なぁ、雷斗」


 流架がどっかに言ったとき、快凪が話しかけてきた。


「どしたん?」


「あのさ、流架と何話していたん?」


「あー、なんか今さ、あいつの家がめんどくさくて、泊まれるとこ探しているらしい」


 俺は快凪に答えた。


「は? あいつそんなこと一言も、、」


 快凪が小さな声で何かを呟いていた。

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