第16話 流架side 助けられたから。

 俺は隣の席にいる君を想いながら、を思い出した。


ーー


 あの日も俺は誘拐された。


「お前があいつの息子か」


 銃を突きつけられながら、倉庫みたいなところに連れていかれた。


 今度はヤクザかよ。


 どこで父親は恨みをかったんだ?


 俺にまで迷惑をかけるな。


 こんなときだけ俺に関わる父親が嫌いだ。


 て言うか、今日は新入生歓迎会があるから、楽しみにしていたのに。


 中三代表の挨拶もあるのに!


 あと一時間じゃん!


「ここにいろ」


 そう言われて、ヤクザの人は電話を始めた。


「おい。お前の息子を預かった。返して欲しけりゃ会社の金で10億払え」


 電話ごしの声は全然聞こえないな。


 どうせ、会社被害が及ぶから払わないだろう。


 それで、腕のいい探偵とかを雇って解決しようとするのだろう。


 その間に俺に何があったとしても。


「ねえ、隣の高校に快凪っていうウザイやつがいるから、痛め付けていい?」


「いいよ。高校のことは俺らにそう簡単に迷惑はかからない」


「よっしゃ。じゃあ、いってきま~す」


 人と戦うのに何でそれほど陽気になれるんだろう。


 俺はお前を》なって思うよ。


 まあ、こんなことで簡単に助からないし、助けを待つか。


ーー


 三十分後、俺は快凪に出会った。


 華麗に人を蹴ったり殴ったりして、このヤクザの集団を潰した。


 ついでに、警察に声を変えて聞いていた。


 その姿に俺は一目惚れをした。


 感情は、かっこいいだったりすごいだったり。


 守ってもらえそうっていうのが大きいのかもしれないけど。


「平気か?」


 そう言って、王子のように手をさしのべる。


 そんな訳はなく、俺に張られていたガムテープをはがす。


「だ、大丈夫。から」


?へえ。あっ、じゃあまたな。俺も警察に捕まりたくねえし」


「あっ、待って。名前は?」


「快凪。夢丘の夢殺しって聞いたら大体通じるから、誰かに聞け」


「分かった。あっ、俺の名前は流架。覚えていてね?」


 俺は君に言う。


「あっそ。じゃあな。覚えているかはわかんねーけど」


「うん。


 俺が一目惚れしたんだから、絶対に会おうね。


ーー


「ねえ、執事くん?」


「何ですか?」


「夢丘の夢殺しって呼ばれている快凪っていう人を探してほしいな。あのヤクザたちを潰した人だから。あっ、もちろん素性も調べてね?」


「メンヘラかよ...」


「ん?執事くん何か言ったかな?」


「いえ何も?快凪という方を探すのですね。かしこまりました」


「うん。頼んだよ。早くね」

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