第12話
・朝霧父視点
電話をかけた時だった。
「ねえ、私に代わって♡」
妻がそう言った。
何か呼び寄せる策があるのだろう。俺は渡した。
時間がたち、妻が電話を終えると嬉しそうに俺に話した。
「兄弟そろってきてくれるって!」
「それはよかったな!」
ああ、もうすぐ俺たちの夢がかなうんだ。
子供のことなんてどうでもいい。子供をこき使って俺たちが有名になれば、それだけでいいんだ。
そう考えながら、あいつらが家に来るのを待った。
―ピンポーン。
チャイムが鳴った。
「塁斗ちゃん、雅人ちゃん、おかえり!
いままでごめんね♡」
妻が完全に媚びている。
俺も、媚びないとな。
そうあいつらのほうを見ると、何やらもう二人いた。
「そちらは、、?」
「申し遅れました。弁護士の宮坂です。」
「私は、藍坂乃蒼です。アイドルやってます。」
弁護士?!あと、アイドル?!
もしかして、、
「音風ノアさんですか、、、?」
「はい、そうです♡」
やばい、、、、、
彼女は次男、塁斗の無罪を証明した一人である。
そして弁護士。
もしかして、俺たちが次男にやったことを世間にばらされるんじゃ、、、、
なんとかして食い止めないと。
「いやあ、いつも塁斗がお世話になっております。
塁斗、いままでごめんな!」
自分でも気持ち悪いと思う。
でも生き残るためにはこれしかない。
「「「「は?」」」」
4人は口をそろえて言った。
「お前俺のこと見捨てただろ」
「塁斗って家族じゃないんだよね??」
「じゃあお前、塁斗が苦しんでるとき助けたか?」
「とりあえずあなたの話は聞きたくないので、親権の手放しといろいろな罪について話し合いましょう」
だめだ。もうおしまいだ。
そのあと、書類に無理やりサインをさせられた。
こうして、俺たちと長男と次男との縁は切れた。
でも、俺たちはただ縁が切れただけでもうこれ以上はないと思っていた。
あれが起きるまでは。
あいつらの本当の復讐が始まるまでは。
あれから数日、急に家に何百本も電話が来るようになった。
全部嫌がらせや抗議の電話だった。
そう、俺たちは晒されたのだ。
「子供を見捨てたクズ親」
「利益のためによりを戻そうとしたゴミ」
いろんな言われようだった。
でも、すべで事実。
だから何も言い返せなかった。
いろんなテレビや雑誌にも取り上げられた。
もちろん、暴露マスターや音風ノアもこのことについて言及した。
しかも、あの日やり取りしたことをほとんど全部晒したのだ。
もうおしまいだ。
見捨てなきゃよかった。
そう思っても、もう遅かった。
あれから、俺たちは逃げ回った。
どこへ行っても、追い手がくる。
今更悔やんでも、もう遅い。
そう実感した。
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遅くなってすみません。
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