第34話 堪忍な
空間認識能力があって良かった。そのまま平面でもインプットしたのでコンテを歩くのは楽勝だった。衣装も体操服だったのが幸いし、すぐに準備が出来た。
ただ、衰えた筋肉にトランペットはギリギリだった。バズーカチューバだったら落としていた。
本番前日、場当たりで会場に向かった。一回学校に帰り、演奏動画を見た後に
「痛いな、痛いよな」
「坂下先生」
「こんな状態で俺が監督やったらやめとけ言うわ」
「ま、これくらい」
「
坂下先生は鼻をすすりだした。
「大人はな、子どもを使うんや。子どもで商売してる。そんなんは運動部で監督してたから分かってる。そんなんはあるんや、でも重傷の子どもを使わな出れんのや」
それが情けない。ごめんな、ごめんな。
「確かに重傷ですけど、歩く分には大丈夫です。それにここが全国大会に行った時点で学校に使われることは想像していましたし、いまさら何がどうなったって、構いません。もう少し冷やします。先生もはよ部屋戻って、こっちに誰も来ないようにして下さい」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます