第28話 説得

「どうしてって、そりゃ勉強があるし」


「撮影しながらでも出来るはずです」


「リハビリも病院で」


「坂下先生とやっているの知ってます。ここやったらお金いりません」


「その、えっと大体士気が無いのにこれ以上、ここにいる必要ある?」


「じゃ、なんで退部届出さないんですか? お母さまが退部届書くって言ってこっちが送った退部届。どうして見て捨てているんですか?」


「え、何それ」


「言い訳も大概にしてください。まだいたいって気持ちあるんですよね」


「お母さんからなんも」


「お姉さまから、お母さんがいくら退部届を要求しても弟が捨てるんです。みんなと全国大会立ちたいって」

 あの馬鹿姉貴、速攻帰ってぶちのめしたい。


 今すぐにでも辞めたいのに。

 そう言えば母さんがあんたに書かせた方がいいけどって何かを探していた。そうか、あの女。


 ここで退部したら、全部話すだろう。松山ではないが針のむしろのままあと一年過ごす羽目になる。


「仕方ない。ホンマの気持ちいうわ」

 さらば、平穏な日々。こういう展開を読んでいたのか。やられた。

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