第30章 這い寄る混沌の脅威
第291話 もしかしなくても修羅の国の人なのかな?
恭介達が瑞穂に来て64日目にして第3回新人戦翌日、恭介はアンチノミーに乗ってレース会場に来ていた。
『スターフォートレスに挑戦するんだね?』
「正解。今日も縛りありか?」
『そうだね。ギフト禁止で報酬が豪華になるよ。それとね、普段使いしてるアンチノミーも使わなかったら、更に報酬を豪華にしてあげるよ』
「まあ、敵が新人戦の相手ならそれもありだな。良いだろう。ソリチュードで相手してやる」
ルーナから新たな縛りを提案され、恭介はそれに乗ってゴーレムチェンジャーでソリチュードに乗り換えた。
『即断即決だね。そういうのは大好物だよ』
「ついでにレースを2連続で行いたい。スターフォートレスでゴールしたら、レーススコアをスキップしてルルイエメモリアルに挑戦させてくれ」
『もしかしなくても修羅の国の人なのかな?』
しれっとレースを2連戦すると言ったら、ルーナは若干顔を引き攣らせたものの承諾して入場門を開いた。
恭介がソリチュードを操縦してスターフォートレスに移動すると、そこには既に7機のゴーレムが待機していた。
万里香は1位の位置でレースに参加したが、恭介は8位の位置に誘導された。
したがって、1位から順に風属性のエクスキューショナー、火属性のジャンクガンナー、風属性のモノティガー、火属性のイフリート、水属性のプリンシパリティ、土属性のキュクロパワード、水属性のリャナンシー、恭介のソリチュードという順番である。
『3,2,1,GO!』
レース開始の合図と共にスタートダッシュを決めれば、ソリチュードがあっさりと1位になった。
ゴーレムのスペックを考えると当然の結果と言える。
後ろでわちゃわちゃしているようだが、恭介は気に留めずにどんどん先に進む。
スターフォートレスは星型の要塞であり、走行するコースも星型だから急カーブを除いて基本的に直線的な道になっているが、要塞特有の武器や備品、糧食等の物資が積み上げられていて真っ直ぐは進めないようになっている。
その上、積み上げられた物資の積み上げ方が雑であり、ちょっと刺激を与えれば崩れるのは容易に想像できる。
だがちょっと待ってほしい。
普通に進めないのはあくまで地上を走るゴーレムであり、空を飛べるソリチュードにとって大した障害物にはならない。
これだけでは3期パイロット以上の実力があればすいすい進めてしまうため、スターフォートレスは1周目から難易度調整が施されていた。
難易度を上げる1つ目のギミックは、各コーナーにしか現れないグサダーツが、直線の道でも両側の堀から飛び出すようになったことだ。
グサダーツが積み上げた物資にぶつかれば、物資が散乱して空を飛んでいるゴーレムの妨害にもなる。
(それもまあ、スペックが低いゴーレムにしか影響がないんだけどな)
ソリチュードならばアンチノミーとほとんど同じスペックだから、恭介は冷静に倒壊する物資を躱していく。
2周目に突入してから少し先の地点で、風属性のエクスキューショナーと火属性のジャンクガンナー、風属性のモノティガーが走行不能な状態になっており、恭介はそれらをあっさりと追い抜いた。
砲弾が飛び交うようになったが、その密度は新人戦の倍ぐらいあってなかなか殺意の高いれーすになった。
それでも、物資やグサダーツを盾として利用すれば、恭介は特に苦労せずに2周目最後のコーナーを曲がった。
そこまでで土属性のキュクロパワードと水属性のリャナンシーも撃墜されており、コーナー曲がって直線で水属性のプリンシパリティを追い抜けば、恭介は3周目に突入した時に全員を周回遅れにしていた。
3周目のスターフォートレスでは、コースがブロック分けされてブロック毎に上下の移動をするようになり、新人戦では三拍子のリズムだったが、今は二拍子でブロックが動くから、タイミングを間違えてしまうと上空にかち上げられたり当たらないはずの流れ弾に当たってしまう。
(三拍子が二拍子になったことさえわかれば問題ない)
要はリズム感の問題であり、恭介の場合は周囲のスピードが遅く感じられるようになっていたことで、苦戦せずに3周目も終えてゴールしてしまった。
『ゴォォォル! 優勝は瑞穂の黒い凶星、トゥモロー&ソリチュードだぁぁぁぁぁ!』
ルーナのアナウンスが聞こえた直後に、恭介はルルイエメモリアルに転送された。
配置は1位から順に土属性のブリキドール、風属性のライカンスロープ、水属性のマッドクラウン、土属性のシーサー、火属性のザントマン、風属性のスイーパー、火属性のハイピクシー、恭介のソリチュードという順番である。
『3,2,1,GO!』
レース開始の合図と共にスタートダッシュを決めれば、またしてもソリチュードが1位になった。
それと同時に恭介達の邪魔をするべく、クトゥルフ神話の侵略者達のレプリカが現れる。
『『『いあいあ!』』』
「ちょっと待て。なんで単一個体のレプリカが普通に出て来てんだよ」
恭介がツッコんだのも当然だ。
何故なら、1位の恭介を邪魔するべくバイアティスとミゼーア、シュブ=ニグラスのレプリカが現れたからである。
ディープワン=レプリカではなく、単一個体のレプリカが現れればツッコまざるを得ないだろう。
難易度が上がったのは間違いないし、できれば瞬殺しておきたいところだが、倒さなくとも突破できない訳でもないから恭介はスルーを選択した。
ソリチュードの背面に追加された
単一個体のレプリカ達もソリチュードに攻撃が通じないとわかれば、自分達のいる場所にやって来た2位以下のパイロット達にターゲットを変更する。
それにより、2位以下のパイロット達は新人戦で現れたよりも強い敵に狙われ、あっという間に全滅してしまった。
『恭介君、誠に残念なお知らせがあるよ』
「なんだよ?」
『単一個体のレプリカが強過ぎたみたいで、2位以下のパイロット達が全滅しちゃった。だから、これから先はただのタイムアタックだね』
「難易度調整ミスったな」
『仕方ないじゃん! クトゥルフ神話の侵略者達を管理下で完全再現って難しいんだからさ!』
恭介に痛い所を突かれてルーナは逆ギレした。
ルーナにキレられても恭介は気にしておらず、2周目に突入して増えたアトラク=ナクアとイタカ、ラーン=テゴスのレプリカも攻撃せずに突き進む。
トップスピードに乗っていることもあり、風のバリアが展開されて敵も簡単にはソリチュードに近づけず、無理に攻撃しようとしても恭介を狙う別のレプリカに命中して敵同士の戦いに発展した。
3周目ではグロースとウボ=サスラのレプリカが現れたけれど、恭介はずっと同じスタンスで一切攻撃せず飛び続けた。
その結果、9体の単一個体のレプリカを引き連れながら恭介はゴールラインを通過することになった。
『ゴォォォル! 優勝は瑞穂の黒い凶星、トゥモロー&ソリチュードだぁぁぁぁぁ!』
ルーナのアナウンスと同時にソリチュードがレース会場前に転送され、その直後にソリチュードのモニターにレーススコアが表示される。
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レーススコア(ソロプレイ・スターフォートレス/ルルイエメモリアル)
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走行タイム:①28分16秒②20分54秒
障害物接触数:①0回②0回
モンスター接触数:①0回②0回
攻撃回数:①0回②0回
他パイロット周回遅れ人数:①7人②7人
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総合評価:S
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報酬:資源カード(食料)100×25枚
資源カード(素材)100×25枚
250万ゴールド
非殺生ボーナス:魔石4種セット×250
ぶっちぎりボーナス:武器合成キット×2
ギフト無使用ボーナス:インビジブルトゥルース
アンチノミー無使用ボーナス:コンフューズドガイア
デイリークエストボーナス:スケープゴートチケット
ギフト:
コメント:日本にも資源カードが15枚ずつ送られたよ
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(資源のことは置いといて、これならソリチュードとネメシスの強化ができそうだな)
縛りプレイによって日本に資源が送られたのはさておき、恭介の興味は新しく手に入った武器に向けられていた。
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