第15章 第1回新人戦
第141話 興味ないね
『恭介君は本当にブレないね』
「当然だ。ギガントフォレストに挑む」
『ところで、週刊ネクステージで恭介君の父親が偉そうに今後の日本経済について語る記事が出たらしいよ』
「興味ないね」
フォルフォルが既に入場門を開いていたため、くだらない情報をばっさりと斬り捨てて恭介はその中に入った。
ギガントフォレストは何もかもが巨大な森であり、普通の木がゴーレムの元のサイズ並みに大きい。
そんなサイズが大きな森であるギガントフォレストのスタートラインには、既に7機のゴーレムが位置に着いており、恭介が位置に着くのを待っていた。
1位の位置には水属性のマザーフレーム。
地母神をモチーフに建造された機体というバックストーリーがあり、レースや探索において環境を味方にできる特性を持っている。
できることならギガントフォレストで戦いたくないゴーレムと言えよう。
2位の位置には火属性のファザーフレーム。
マザーフレームに対をなすというコンセプトで建造された機体というバックストーリーがあり、環境による影響を反射できる特性を持っている。
マザーフレームとファザーフレームは特性こそ違えどそれ以外のスペックは同じだから、一般的なパイロットなら戦いたいとは思わないだろう。
3位の位置には風属性のゴリアテ。
常に風を纏っており、攻撃が当たらない大型ゴーレムである。
飛ぶことはできないけれど、その大きさゆえに1歩で移動できる距離が長いから侮れない。
4位の位置には土属性のアマイモン。
土の元素を司る悪魔の名前を冠している通り、土属性限定のゴーレムだ。
武器は特殊な
5位の位置には水属性のアリトン。
水の元素を司る悪魔の名前を冠している通り、水属性限定のゴーレムである。
武器は特殊な鞭を使い、大気中のマナを吸収して鞭を自由に伸ばせる。
6位の位置には火属性のオリエンス。
火の元素を司る悪魔の名前を冠している通り、火属性限定のゴーレムだ。
武器は特殊なガトリングガンを使い、大気中のマナを吸収して銃弾をいくらでも生成して発射できる。
7位の位置には風属性のパイモン。
風の元素を司る悪魔の名前を冠している通り、風属性限定のゴーレムである。
武器は特殊な
8位の位置に恭介のリュージュが着いた瞬間、レース開始のカウントダウンが始まる。
『3,2,1』
「ギフト発動」
恭介がギフトの発動を宣言し、彼はリュージュのコックピットからドラキオンのコックピットの中に移った。
『GO!』
開始の合図が聞こえた直後、それぞれのゴーレムの足元から巨大な木の根が突き出して串刺しにしようとしたけれど、恭介の腕とドラキオンのスペックがあればそれをあっさりと躱してスタートダッシュに成功した。
他の大半のゴーレムも躱せたが、ゴリアテだけは動きが鈍かったせいで風のガードを突き破って右脚を壊されてしまった。
ギガントフォレストの洗礼はそれだけに留まらず、コースの両脇に生えた木の実が地面に落下した途端に爆発する。
その数は左右で3つずつあり、ドラキオンの後の順位のゴーレム達はその爆発に巻き込まれた。
しかし、マザーフレームの環境を味方にできる特性によって爆発の影響がファザーフレームだけに集められ、ファザーフレームの特性でその爆発は反射されてファザーフレームは無事だった。
その反射に巻き込まれたのは4位以降のゴーレム達であり、アマイモンとアリトン、オリエンス、パイモンが爆発によるダメージを負った。
ギガントフォレストは突き出す根と爆発する木の実がいつでも何処でもゴーレムを邪魔するコースであり、それに加えてモンスターも現れる。
(トリフィドが出て来たか)
走行の邪魔をするようにトリフィドが前方に見えたが、恭介はトップスピードを維持してその風圧でトリフィドを仰け反らせた。
地面にしっかり根を生やしていることもあり、一度近づくだけで吹き飛ばすことはできなかったのである。
それでも、トリフィド達は次に現れたマザーフレーム達の走行を邪魔する。
トリフィドの出るゾーンを抜け、根や木の実による妨害を躱していった先にはトレントが待ち受けていた。
「今はレースだ。お前の相手をする暇はない」
トレントが最初の獲物だと思ってドラキオンに攻撃するが、その攻撃は恭介が冷静に見切って全て躱した。
トリフィドと同様にトレントもその場から動けないから、通過して距離が離れれば邪魔されることはない。
1周目も4分の3が終わった頃、根の代わりにランダムな間隔で次々に竹が地面から生えてドラキオンの邪魔をする。
ところが、ドラキオンのトップスピードで進む高度まで竹が成長する方が遅かったため、恭介は竹のゾーンで特に困ることなく2周目に入った。
2周目に入ってすぐの位置で、ゴリアテの破片が飛び散っていた。
スタートの直後に右脚を壊された後、動きが鈍ったところを集中攻撃されたのだろう。
トリフィドが現れるゾーンに恭介が着くと、トリフィドに紛れてトリフィドタンクがいた。
「ギガントフォレストの殺意が高いな」
タワー探索で言えば21階層の敵がいて、22階層に繋がる昇降機を守るモンスターまでいるのだから、このゾーンは本来ならばレースに参加するゴーレム達の足止めをしたはずだ。
だが、トリフィドの群れにトリフィドタンクが交ざったとしても、ドラキオンの速さには敵わない。
進んで行く内に今度はトレントのいるゾーンに着いたが、1周目は1体だったトレントが2体に増えていた。
そして、アマイモンとアリトン、オリエンスが走行不能になる間で壊された状態で見つかった。
(まともに戦わなきゃ良いものを)
動けなくなった3機のゴーレムをスルーし、恭介はトレント2体の攻撃を全て躱して先へと進んだ。
竹が急激に生えるゾーンでは、パイモンがいくつもの竹によって拘束されており、恭介はそれもスルーした。
恭介が3周目に突入した瞬間、トラップの密度が濃くなった。
その影響もあってか、トレント達のいるエリアの手前で交戦中のマザーフレームとファザーフレームの周辺が大変なことになっている。
ゴーレムの属性的にはマザーフレームの方が有利だが、ゴーレムの特性の面では環境による攻撃を反射できるファザーフレームの方が有利だ。
お互いに有利な点があるおかげで、マザーフレームとファザーフレームの戦いは勝敗がつかずずるずると続いているらしい。
(俺に付き合う理由がない。先に行くぞ)
強行突破を決意した恭介が接近して来たことにより、マザーフレームとファザーフレームがお互いに隙ありと見て攻撃を仕掛ける。
それにより、マザーフレームの薙ぎ払いがファザーフレームの腰部に命中し、ファザーフレームが反射した木の実がマザーフレームの顔の目の前で爆発した。
勝手に潰し合ってくれているのをラッキーだと思い、恭介はそのまま2機を追い抜いてトレントゾーンも最短ルートで突破した。
竹のエリアも最後まで掠ることもなく、ドラキオンが1位でゴールを通過した。
『ゴォォォル! 優勝は瑞穂の黄色い弾丸、トゥモロー&ドラキオンだぁぁぁぁぁ!』
トラップに当たるのは避けたいので、恭介はレース会場前に移動して
リュージュのコックピットに戻るのと同時に、レーススコアがモニターに表示されたのでそれを確認する。
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レーススコア(ソロプレイ・ギガントフォレスト)
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走行タイム:36分48秒
障害物接触数:0回
モンスター接触数:0回
攻撃回数:1回
他パイロット周回遅れ人数:7人
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総合評価:S
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報酬:資源カード(食料)100×5枚
資源カード(素材)100×5枚
50万ゴールド
非殺生ボーナス:魔石4種セット×50
ぶっちぎりボーナス:パシフィスタ
デイリークエストボーナス:50万ゴールド
ギフト:
コメント:平和主義者とは名ばかりの武器までゲットするなんて…
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(パシフィスタか。懐かしいな)
恭介はGBO時代にパシフィスタを使ったことがあったため、それがここに手に入ったことで懐かしさを感じた。
とりあえず、レーススコアの確認を終えた恭介は瑞穂に帰還した。
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