浦島太郎

プルルルル……


「はい、こちら、童話お悩み相談室です」


「騙されました。健康被害です」


「どんな被害でしょう?」


「髪は白髪に、肌はしわしわに、背骨も曲がってしまって一気に老けてしまったんですよ」


「どうしてまた、そんなことに?」


「はい。お土産でもらった箱を開封しただけなんです」


「あ~、それ、開けちゃダメって言われてませんでしたか?」


「はい、言われました。けれども、開けたらダメなお土産なんて渡すわけないと思って、気になって開けてしまいました……」


「それはお気の毒様です。でも、約束を守らない浦島さんも悪いですよ」


「ええ、それは分かっていますが、この仕打ちはないでしょう」


「いやいや、これも乙姫様のお気遣いですよ。海底の世界と地上の世界との、時間の同期をとるためのアイテムなのですから」


「はぁ……そう考えることにします」

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