第12話 孤独な生活。

 俺は友達も恋人も職もないから、毎日こうやってアパートで引きこもってタバコ吸ったり酒を飲んだりしている。あとはゲームしたり読書したり漫画読んだり映画を見たり生配信を見たりエロ動画を見たりする。あと最近は求人サイトも見る。実際、2件面接を受けて2件とも不採用だった。


 基本的には誰とも会わない。今年になって喋った相手は、妹と母親だけかもしれない。


 そんな静かな暮らしをしている。


 立派な大人ってやつにはなれなかったけど、俺は実はこの生活に概ね満足している。争いがどこにも起きてないからだ。


 今まさにストロングゼロのレモンを飲んでいる。酒を飲みまくると脳細胞は減り、脳も萎縮してバカになるらしい。


 実際、俺は書きたいことがあったのだが、何を書きたいのか忘れてしまった。


 何を書きたかったんだっけ。


 何度も書いてるけど、俺はあと数日で27歳になってしまう。空っぽの大人になってしまった。死にたくなるけれど、死ぬのも難しいから、今後もこうやって適当に生きていくんじゃないかな。


 俺はASDという発達障害を持っている。


 全世界には7000万人のASDがいるらしいが、そのうちの8割が無職らしい。


 ASDの奴にとって、働くってのはそれだけ難しい。


 まず学校でも会社でも他人とのコミュニケーションが取れないからな。集団の中でうまくやれない。話せなくて孤立する。


 そういうのを考えると、俺が一般雇用の正社員で一年三ヶ月も働いてたのって、超偉いことだったんだなって思います。


 今は俺は障害年金をもらってて、月に65000円くらい貰える。


 その金だけじゃアパートで生活できないから、俺は単発バイトをしたり、親からの援助を受けたりしている。


 本当は俺だけの財力で生きたいんだけど、なかなか難しい面があります。


 まあ、こうして「精神障害者」として生まれたっていうわけで、俺は与えられたカードで戦うしかないんだよな。


 ある日突然すべてが光り輝くなんて事はありえない。泥臭く、俺に出来ることを一つ一つ頑張っていくしかないんだ。小さな幸せを一つ一つ拾い集めるしかない。


 俺も本当は「普通の人間」に生まれたかった。そしたらどれだけ幸せだっただろうと思う。


 でも俺は俺にしかなれないから。


 こればかりはしょうがないんだ。そういう運命だったんだから。


 でも嘆いてる暇はない。


 俺はもうすぐ27才になってしまう。


 俺には時間がない。頑張るしかないんだ。


 死にゆく勇気が無いなら、生きていくしか無いだろう。

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