いけいけ勇者様26

最上司叉

第1話

婚約者と盗人は聖女の涙を求めて馬を駆けていた。


国王の許可は事情を話したらあっさり貰えた。


あっさりし過ぎて怖いくらいだ。


そんな事を考えながら馬を駆けてると乙女の住む塔が見えてきた。


「あそこか」


「以外と近かったな」


「あぁ」


馬を塔の前に繋いで中に入ろうとしたその時誰かの怒鳴り声がした。


「何ですか?!貴方たちは!」


慌てて後ろを振り向くとそこにはほうきを持った老婆がいた。


俺たちは事情を話そうとした。


「問答無用!!」


老婆は俺たちに襲いかかってきたがあっさりかわされ捕まった。


「離せ!!」


「暴れないで、俺たちは事情があってここに来たんだ」


「何じゃと?」


「話してみい」


そう言う老婆に事情を話した。


「なんと仲間思いじゃのとでも言うと思ったか!!」


「?!」


俺たちはそんな老婆にびっくりしながらほっといて塔の中に入った。


「?」


「誰もいない」


「そうだな」


「戻ってあの老婆に聞いてみよう」


「そうだな」


2人が塔の中から出てきた。


「何じゃ?どうしたww」


老婆は俺たちをバカにして笑っている。


「しょうがない」


「そうだな」


「?」


「何じゃ?何をする気じゃ!!」


「待て待ってくれ」


2人は老婆に近づいていく。


「わしの血をやるから待ってくれ!!」


「!?」


「どういうことだ?」


「おばぁちゃんが乙女なのか?」


「…」


「答えて!!」


「…そうじゃ」


「えー!!」


俺たちは驚いた。


乙女というからにはもっと若い娘だと思っていた。


それがこんな老婆とは。


まぁそんなことは今はどうでもいい。


早く血を貰って帰らなきゃいけない。


「じゃあおばぁちゃんちょっとチクっとするよ」


「分かっておる」


血が二三滴容器に入った。


「ありがとう」


俺たちは礼を言い帰ろうとした。


「もう2度と来るな!!」


そんな老婆の捨て台詞を聞きながら馬に飛び乗った。

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