その7 恥の上塗り。 

冷静に自分を振り返ってみたら、恥ずかしくてしょうがない...。

「不幸はあっちの世界に置き去りだ」「ここでの私は未来しかない」な~んてさっき思ったけど、今のところ恥しかないじゃないか...。

赤っ恥ロケットスタートだよ、ぶっちぎりだよ。



イケ:「では、15分後にまた来ますね。」


新井:「...30分で...。」



あ~~~、ヤバいよヤバいよ。

なんなんだよ私は。


でもあれだ、人間は生まれて来る時、素っ裸だ。

ほんでもって、ギャン泣きすっからね。

だから、生まれた時から恥ずかしい生き物なんだよ、そうだよ、気にしなくていいんだよ、ね?ね?、そうだよね。



...はあ~、めっちゃ恥ずかしいわ...。



そんなん考えても、今恥ずかしいのは収まらんわ。

こけた時とか、おなら漏れたりしなかったかな...?

しなかったはず...あー、要らん事まで気になってきたわヤバいわ。


いやもうどうしようか...腰痛い。

こんな恥かき捨てようもないよね...腰痛い。

それは置いといてここが本当に異世...腰痛い。


はぁ~...



....



.....



......



...んがっ!



うっわ、寝てたよ、眠りに落ちてたよ。

はぁ~...外もう暗くなっ...



イケ:「お目覚めですか?」



おっわ!

見られてッ!るッ!!

ちょ、顔、顔を...痛ぇ!!腰ピキッてなった!!



イケ:「すいません!」



マジかよおめーよ、寝顔とかいう超絶無防備なアレを見やがったな。

しかもヨダレってたよ、いびきもしてたよ。

いびきで「んがっ!」ってなって目が覚めたもん今、最悪...オブ最悪...。



イケ:「お腹空きました?」



目覚めたばっかでわかんねぇよそんなん。

訊くって事は自分が空いてるんだろうね、きっと。



新井:「...はい...。」



空いてなくてもYESと答えた方が良いよね。

アレだ、寝顔については触れんでくれ、言わんでくれ。

いや、言わせねーよ、メシの話に繋げて誤魔化すよ!


あ、寝っ屁とかしてなかったかな...いやいやいや、それ気にしたら負けだ、何の負けかはわからんけど。



イケ:「動けそうです?動けるなら、レストランに連れて行きますよ。」


新井:「無理そう...です。」


イケ:「では、私が何か作ります。どんな物を食べたいですか?」



...!


なん...だと...?


あれか、イケモトさん、君は、作れる人なのか。

私は普段、料理とか全くと言っていいほどしてないぞ。

1人暮らしで自分のためだけに作るのはアホらしいからな。

まあ、結婚してても殆どやんなかったけどね、元夫の方が上手かったしね。



新井:「なんでもいいです...。」


イケ:「それ一番困る答えですね(笑)。」


新井:「う~~~ん、海産物!」


イケ:「鍋でいいですか?うどんとごはん、どっちが良いです?」


新井:「ごはんで!」



鍋と言えば冬のイメージがあるね。

でもいいよ、いつ食べても美味しいから。



イケ:「わかりました。30分から40分ぐらい、お待ちいただけますか。」


新井:「はい。」



問題無いよ、むしろちょうどいい。


「では」と言ってイケモトは立ち上がり、部屋を出て行った。

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