【第3章】した者とされた者

その1 病院にて。

病院に連れて行かれた私は、レントゲン検査を受けた。

特に異常は無いらしい。


医師への状況説明は、私の代わりにイケモトがしてくれた。

保険証の提示を求められた際、私に何も訊かず、「これでいいですか?」とイケモトが別の何かを見せていた。

受け付けが、「あ!はい~。」と、妙な返事をしていて気になった。


その後、治療を受ける段階になり...



医師:「注射はしてもいいんですかね?」


イケ:「大丈夫とは思いますが、もしかしたら体の構造が違うかもしれません。」


医師:「薬とか、体内に入れる治療はやめた方がいい?」


イケ:「色々調べてからじゃないと、万が一の事が心配です。」


医師:「うーん...じゃあ、湿布薬を出しておきましょうか?」


イケ:「それでお願いします。」


医師:「厳密には、そういった治療も避けた方が良いのかもしれませんね。」


イケ:「とにかく本人の同意が...」



診察室のベッドに横たわる私をよそに、イケモトと医師がそんな会話をしている。

「体の構造が違う」って何よ?

同意?同意があれば、この痛みを消してくれるの?


あ、でも、注射は嫌だ。

刺されるのは慣れてるけどさ。


看護師に湿布を貼られ、「とにかく安静にしてください」とだけ指示を受け、診察は終わった。

なんだよ、結局どうにもならないのかよ。


だとしたら、歩いて帰らないといけないのね。

イケモトが車を用意してくれるかもれないけど、それにしたってそこまでは歩くよね...。


そう覚悟していたら、なんと、担架が用意され...



看護:「お車までお運びしますね。」



と、言われた。


え、今の病院ってそういうサービスあんの?

ちょっとありがたいかも。


ん?


待って、会計は?

支払いは?


これはちゃんとしとかないといけない。


担架に乗せられ、運ばれながら...



新井:「あの、診察代はいつ支払えば?」



と尋ねた。


すると...



看護:「それは池本様におきください。」



という答えが返って来た。


んー、イケモト、私の代わりに支払ってくれるのか?

まあ、こうなったのもあいつの責任みたいなもんだし。


いやいや、なんか変じゃない?


具体的に何が...ってのはなんかわからないけど、なーーんかおかしいよね。

色々と。


「池本様」「イケモトサマ」...うーん、「様」「サマ」って付けて呼ぶかな?

んー、まあ、呼ぶか。


こんな大きな病院だと、会計に時間かかるはずだよね。

なのにもう、私が車に運ばれてるのは、いいんだろうか?


魔法陣を見付けたあたりから、頭の中は「???」と謎だらけだ。

謎が1つも解けないまま、私の身体は車へと運ばれた。


来た時と同じように、仰向けの姿勢で車に乗せられる。

私の頭の横には、イケモトが座った。



新井:「あの、診察代は?」


イケ:「はい、あなたは被召喚者で、私が手続きしたので無料です。」



は?


またファンタジー発言だよ。

もういいって。

つまり、私は払わなくていいのね。



新井:「これからどこに向かうの?」


イケ:「とりあえず私の宿でお休みください。」



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