遊園地へようこそ

桃花西瓜

　こっちだよ！　こっち！　よかった、来ないかと思ったよ。

　ほら、ここが私の話していた遊園地。見てよ、この錆び具合。大分前に閉園した遊園地だからね。

　どうしてこんな何もない場所に遊園地を作ったのだろうね。昔は子どもがたくさんいたからといっても、こんなところに作らなくてもいいのにね。

　門の前で立ち話もあれだね。早く行こうか。門は鉄格子で固く閉ざされているよ。よじ登って侵入しよう。

　え？　不法侵入だって？　そうだね。本当は悪いことだよ。でも、この先に何があるか気になるだろう？　私も君もオカルト仲間。ここまで来て入らないという選択肢はないよ。

　それにこの遊園地の所有者は国にもわからないんだ。きっと大丈夫。周りに人もいないし、目撃者もいないよ。

　ほら、私の手に掴まってよ。よし、上まで来られたね。じゃあ、そこの木に足をかけて慎重に降りるよ。大丈夫。木はしっかりしてる。

　はい、到着。ここが廃墟になった遊園地だよ。どう？　小さいけど立派な遊園地だろう？　赤く錆びたアトラクションが血にまみれているようで不気味だね。ここには絶対幽霊か何かがいるはずだよ。

　でもさすがにゴミや木の葉が散らばって汚いね。

　おや？　風で何かが飛んできたよ。君の足下に引っかかっている。ちょっと失礼。どれどれ、遊園地のパンフレットみたいだ。色あせて見にくいけれど、案内図もあるよ。

　ははは、まるでこの遊園地が私たちを招待してくれているようだね。

　メリーゴーランドにジェットコースター、観覧車。ねえ、君はどこから行きたいかな？

　『最初はジェットコースターに決まり！』

『『メリーゴーランドに行きたい』

　『ここはあえて観覧車』

https://kakuyomu.jp/works/16817330663384580032/episodes/16817330663410192938　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

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