刑法第235条【窃盗罪】

神楽堂

え? これが窃盗罪になるの?!

あの自転車、俺のだ!


たまたま通りがかったアパートの駐輪場に、盗まれた俺の自転車を発見した。

近づいて確認する。

鍵のところは壊されていた。

一週間もの間、このアパートの知らないやつが勝手に俺の自転車を使っていたというわけか……

俺は、アパートの窓を睨んだ。

どの部屋のやつだ、俺の自転車を盗んだのは!!


でも、とりあえずは見つかってよかった。

俺は自分の自転車に乗って、家に帰ることにした。


「そこの自転車、停まってください!」


いきなり、警察官に制止させられた。

鍵の壊れた自転車に乗っているので、職務質問されるのも仕方ないだろう。


「すみません、最近、自転車泥棒が多いので、確認させてもらっていいですか?」


「これ、俺の自転車ですけど……」


「防犯登録、なさっていますか?」


「……いえ……」


知人から譲ってもらった古い自転車だ。

俺の名前では登録していないし、そもそも、古いので登録の期限は切れている。


「今、そのアパートから出てきましたけど、そちらにお住まいですか?」


「いいえ。この自転車、俺のなんですけど、盗まれていたんです。鍵を見てください」


俺は、壊された鍵を見せる。

この自転車が盗まれたものであることは一目瞭然であろう。

俺は説明を続けた。


「で、さっき、このアパートで自転車を見つけたんです」


「盗んだ犯人とは会いましたか?」


「いいえ、会っていません。そこの駐輪場に置いてあったので取り返しました」


警察官は、訝しい表情になった。


「キミ、


「は?!」

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